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Afterword to the Newsletter: [Pen Relay]
  秋田市医師会報のあとがき「ペンリレー」のご紹介です。
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50年目のへえ~
こどものクリニック 佐々木剛一
 角館病院勤務時代同僚だった精神科の大沼先生からお電話頂きました。
 私の趣味は遊ぶことばかりで恐縮だがスキーとゴルフ。特にスキーの歴史は長く物心ついた頃にはもうスキーを履いていた。幼い頃のスキーと言えば、単板ですぐに擦り減ってしまい、先端に近いところで折れる。物のない時代でかつお金もないのですから、買い替えなんてとんでもないことで、トタンで修復するのが一般的。トタンで囲った端が折れるとまた別のトタンでやり直す。知り合いなどからもらってくるスキーもみなトタンで修理をされており、折れて修理をされたスキー板が何台かあったと記憶している。普通の長靴に革の紐で止めて、かかとは固定されないビンデングのため回転させるのは難しく、ただひたすらどれだけ高い所から真っ直ぐに滑り降りてくるかを競い合った。途中息が止まってしまうようなスピードに怖さと快感が同居していたように思う。
 中学に入って合板の板にスキー靴をビシッと固定するビンデング付きのスキーを父から買ってもらった。いままでのスキーとは比較にならない素晴らしいものだったが、スキーで曲げるテクニックもゲレンデもなかったので以前同様ただ直滑降を楽しんでいた。そしてある日悲劇が起きた。今のスキーのようにセフティ機能など付いていないビンデングなので、激しく転倒したらスキーが雪に突き刺さり足が捻れてもはずれない。もがきながらやっとスキーから靴をはずし痛みに耐えながら家に帰った。その晩足首が物凄く腫れ上がってきた。翌日受診してみると幸い骨折はないが捻挫という診断。ギプス固定され春先まで親や姉から箱ゾリに乗せてもらって学校に通った。そして更なる悲劇は、それまでかけっこには自信があって負けたことがないこのぼくが、翌年の運動会での200m走では何と8人中8位というドンジリになってしまったのである。身体を動かさないということはこういう結果になるのである。本当に悲しい事件でした。高校では学校の近くに町営スキー場があり授業で基本の滑りやボーゲン、斜滑降、クリスチャニアなどを習ってようやくスキーらしい滑りになった。
 でも本格的にスキーに取り組んだのは家内と婚約した年からである。家内のスキーはボーゲンで右に曲がりたいのに左に行ってしまうというほどひどいもの。しかし何回転んでも、髪の毛が凍っても頑張り通してついにその年のうちにクリスチャニアで滑れるようになってしまった。彼女の運動神経は抜群で何でもこなしてしまう。私にはあまり進歩がないので年月が経つにつれ彼女の方が上手になってしまったような気がした。角館にいる時には土曜日の午後から出かけて行っても十分楽しめたので、年20回も田沢湖スキー場に通った。子供達は回数の甲斐があって特別うるさく指導もしていないのに、5~6年生にもなるともうすいすい、親から自立していった。平成7年私以外が秋田に来てからは田沢湖スキー場へ行くのは三男と3人のみで、年に1~2回に減ってしまった。
 さて、10年に開業してからは木曜日と祝日には出かけられるのだが、なかなかエネルギーが沸いてこない。もう私からスキーの趣味ははずしてしまわなければならないかなと思っていたところ、”カービングスキーは短いし曲げやすくて楽に滑れるよ”という誰かのアドバイスに、”よし!一度カービングスキーとやらを買って滑ってみようではないか”と、家内とお揃いのスキー板を買い求めた。私は回転の後半にかけて膝の押さえが甘く駒3のような急斜面に行くと次第にスピードアップしてしまう欠点があり、いつも不満に思っていた。初滑りではあまり楽という実感はなかったが、だんだん馴れてくると今までのスキーよりも20cmも短くなったこともあってやはり楽だなという実感が沸いてきた。 ところである時テレビでプロスキーヤー三浦雄一郎さんの父敬三さんが99歳で記念の滑降を計画しておりそれに向けて努力する日常の生活が放映された。その年とは思えないほどカクシャクとしていることはもちろん凄いことであるし、生活が万事キチンとしていて今の私でさえ一日も真似が出来ないだろうなという印象をうけた。とにかく99歳の人が歩いたり走ったりすることも、自炊することも信じられないのに、100年近くもやってきたスキーをこの年になっても更に上手になりたいという言葉と意気込みには感心させられた。いつまでも研究心や向上心をもって生きるということは素晴らしいこと、なにも諦める事は無い、何もかも知り尽くしたと思われるこの人でさえまだ改善の余地があると日夜努力をしているのではないか、この生き方を見習わなくてはいけないと思っていた。
 そしてある日のこと、一回駒ケ岳第2から滑り降りてクワッドに二人で乗ろうとしたら、ある老人も乗ってきた。そして家内を相手にいろいろと講釈を始めた。私自身は最初はあまり真面目に聞いていなかったが、とても熱心で”とうさんも、かあさんも滑り方は昔のフォームで両足を揃えて身体を谷側に向け確かに綺麗かもしれないが、今は両足を少し離して楽に滑るのが基本だよ”という。そして”大事なのはスピードをコントロールすることで、そのためには脛を靴に押し付けたまま絶対に離してはいけない”と。私はその時”あっ、これだ!”と直感した。そのおじいさんは”私は60歳からスキーを習い始め今80歳でコーチの人から理論をきちんと教えられたので、滑りは口で言うほどうまくないし、参考にはならないが一緒に滑ってみよう”と誘ってくれたのでした。次の滑りでは脛を意識したら何と安定しているではないか。調子にのってガンガン飛ばしてしまったが、そのおじいさんも離されることもなくついてきた(ちょっと失礼な言い方ですが)。50年もやってきて何となく不安だったスピードコントロールが、あの一言で見事解決したのである。何と言う出会いであろうか。判ってしまえばたいしたことではないが、どうしても出来なくて判らないでいたことなのである。やはりどんな意見も聞くものだ。この出会いがなければ”まあそこそこでいいや”と思いながら年2~3回出かける程度だったろう。私のスキーの師との出会いでした。お陰で今年はその後4~5回田沢湖に走り、滑りをマスターした。
 そう、何でも”うまくなろう!何か解決策があるはずだ”と思いながらやっていればいつの日かきっと道はひらかれると思います。いつになるかはわかりませんが…
 次は太平療育園園長石原芳人先生にお願いしました。


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