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Afterword to the Newsletter: [Pen Relay]
  秋田市医師会報のあとがき「ペンリレー」のご紹介です。
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中学生の部活動と親の会
秋田赤十字病院 佐藤 朗
  今年の1月に当院へ移動しましたが、15年程前、県北の病院で一緒に勤務していた当院腎臓内科の佐藤隆太先生に再会し、ペンリレーのバトンを引き継ぎました。私にはこれといった趣味らしい趣味もなく、何についてお書きしたらよいのか迷いましたが、子供が中学生になってソフトテニス部に入ったのがきっかけで、仕事のないフリーの休日は全て子供の部活動に捧げる生活が続いておりましたため、その辺のことについて書かせていただきます。
  地域や学校、部活動によって関わり合いの程度は各々異なると思いますが、小中学生の部活動は親の会が中心になって、監督と子供たちを支援する体制になっているところが多いのが現状です。練習場の確保が自前の学校施設内で難しい場合は学外のスポーツ施設で練習をしたり、週末・休日は練習試合、各種の大会などで県内外へ遠征をしたりしますが、その際に子供たちの送迎・同伴は親の会が行うことになります。また、屋外スポーツであるソフトテニスの場合、子供たちの控室用のテント、シート、練習球、救護箱などを練習場や大会会場に自動車で運搬するのも親の会が担っています。練習場の予約、確保や、宿泊施設の予約なども親の会の仕事です。そして、会場で子供たちがテントを張るのを手伝ったり、大会に円滑に参加できるように促したり、試合の応援をしたりなどなど、監督の先生と連携して、子供たちの活動を支援・見守りするのが親の会の役目になっています。
  私はソフトテニスの経験は全くなく、未知のスポーツだったのですが、子供たちの部活動を見学するようになって、ソフトテニスという競技が徐々に理解できるようになり、試合(中学生の)を観戦する面白さに取りつかれるようになってしまいました。ソフトテニスの経験者の方々には常識だと思いますが、中学生のソフトテニスは基本的に個人戦も団体戦もダブルスだけであり、シングルスがないことを初めて知りました。また、ダブルス二人のポジションがはっきりと決まっていて、バドミントンのように状況に合わせて自在に動くことは稀(中学生の場合)であり、基本的には前衛は前衛専門、後衛は後衛専門、ラケットも前衛用と後衛用に分けられています。そして、バドミントンや硬式テニスとは異なり、フォアハンドもバックハンドもラケットの同じ面で打つのが基本です。加えて、私自身の中学・高校の部活動が屋内スポーツでしたので、屋外スポーツが天候に非常に影響されることも痛感しました。雨が降ると地面のバウンドも変わりますし、気温によってボールのはずみも変わりますが、何よりも風の影響が大きいです。もちろん気象条件は皆同じなので、その中でどうやってポイントしていくか、ということになりますが、後衛に強打力がないため、強いパスボールではなく深いロブの打ち合いで粘って、浅く来たボールを前衛が決めるような得点スタイルがメインのダブルスにとっては、風の中でのロブのコントロールが難しくて、実力を出し切れないような場合もあります。そして、試合の観戦を重ねるにつれて、メンタルな面も含めて二人の連携がかみ合ってポイントになるということがだんだんと見えるようになってきました。当たり前のことかもしれませんが、「一人一人でポイントするのではなく、二人でポイントする」というところが、ダブルスがメインのこのスポーツの魅力の一つであることも理解できるようになりました。
  どの競技でもそうですが、子供たちはコート上で色々な状況におかれます。団体戦の県大会出場がかかっている試合の1勝1敗の三番手のゲームで、あと数ポイントで勝ちが手に届く状況になって、急に勝ちを意識して緊張してしまい、逆転負けを喫することもあります。大差をつけられて、ほぼ逆転が不可能な状況から、連続ポイントをとって、波に乗り、試合をひっくり返すこともあります。実力差がありすぎて、全く歯が立たず、あっという間に負けてしまうこともあります。勝負は本当に残酷で、どちらかが勝つか、負けるかしかありません。彼らはいろんな状況の場面に立って、勝つ喜びや負ける悔しさなど勝負の厳しさを知り、自分の限界と可能性を知り、チームメイトや対戦相手を尊重することを学んでいきます。入学した時は、小学生のあどけなさが残っていた子供たちがこのような経験を経て、だんだん大人の顔つきになっていく、そういう変化を見ることができるのも親の会として関わり合いを持つ楽しみの一つとなりました。彼らにとって、ソフトテニスが多少うまくなっても、将来的にそれで稼いでいけるようになることはほぼあり得ないですが、このような経験を肯定的に積み重ねていくことが、彼らがこれからの人生において様々な問題や困難に直面するときに、いつかきっと役に立つだろうということが親という立場になって実感できるようになりました。
  とはいっても、やはり勝負の行方は最も気になるところです。実力が拮抗していて、ファイナルセットのジュースを繰り返す状況になると、祈るような気持ちになって試合に見入ってしまいます。スポーツの試合のすべてに通ずることかもしれませんが、秋田市のお祭りの竿燈がゆらゆら揺らいで、倒れそうになったり、持ちこたえたりするように、最後のポイントの決着がつくまでは勝負の行方は全く分かりません。試合を見ている方も緊張して、文字通り手に汗を握りながら、自分の心拍が自覚できるぐらい、ハラハラドキドキさせられます。50歳を過ぎて、中学生のスポーツを観戦していて、こんな心境になれるとは思ってもいませんでした。
  また、仕事人間であり、無趣味の私にとって医療関係ではない親の会の方々と少なからず交流ができたことも新鮮な経験でした。チームメイトの親御さんたちと、試合の度に喜びや悲しみを共感しあったり、寒い冬の体育館で温かいお味噌汁をおすそ分けしていただいたり、熱意ある監督と親の会のよいメンバーに巡り合うことができたのも特筆すべきことです。
  この原稿を書いているのは5月中旬ですが、コロナウイルス感染対策のため、2月末からの休校とともに、練習も中止になり、練習試合、春季大会、総体などの大会も全て中止になってしまいました。日頃から練習してきた成果を発揮する場所がなくなってしまい、子供たちには大変気の毒だと思います。中学生に限らず、インターハイも東京オリンピックもプロスポーツも全て中止・延期になり、全国で緊急事態宣言がなされ、地域によっては医療崩壊も危ぶまれ、経済活動も停滞し、多くの方々が生活に困窮するような状況です。一日も早く感染が終息し、社会全体が元気を取り戻すことを心から祈っております。
  次回は、医局の後輩であり、20年程前に秋田大学の産科グループで一緒だった、あきたレディースクリニック安田の安田師仁先生にお願いしました。


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