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Afterword to the Newsletter: [Pen Relay]
  秋田市医師会報のあとがき「ペンリレー」のご紹介です。
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統合失調的独り言
外旭川サテライトクリニック 小野 幸彦
 昭和で言えば86年、平成23年3月11日午後、当クリニックの予約患者の診療が一段落して休憩していた2時46分、その揺れはおきた。停電となり電子カルテはダウンして診療出来ない状態となった。震動は長く続き電話も通じにくくなってしまい情報の収集はとりあえずラジオからのみとなった。しかし机の中にあった古いラジオからは雑音が多く充分ではなかった。そのうち職員のワンセグからの情報あり画面が乱れて地域はわからなかったが津波のような画像であった。世の中大変なことが起きた事が想像されたがテレビが映らず詳細なことがわからず以後の診療は中止となり信号機が止まっている中、左折を中心とした経路を選び右折はメインストリートで行なってトラブルもなく帰宅した。電気のない秋田の冬は寒いと改めて認識し、どういうわけか我が家に多量にあったホッカイロで暖をとってしのぐこととなった。これまたどういうわけか多数あった電池により懐中電灯とラジオは全て稼働可能で助かった。余震の中一晩が過ぎた。
 この東日本大震災については前回で吉田先生が多く書かれていたが、その後も被害の甚大さが深刻となっている。私の故郷岩手の陸前高田市の写真を見た時、我が眼を疑った。昭和35年のチリ地震津波の際、高校の同級生の知人の多くの命を奪ったその時の写真を未だ覚えていたのでしたが、その状態なぞ取るに足らないと思える程の被害が起こった事がわかった。
 以後はマスコミで取り上げられている如く、想像を絶する災害である。これに対し秋田県の医療界では、各医療機関D-MATが直ちに行動をとっており、また医師会でも救急患者受入の打診対応や救急医療班など様々な反応がみられたと聞く。更に原発事故は今なお予断を許さない経過で、風評被害も出てきた。福島をはじめ栃木、茨城の被害は大変なものとなっている。その中で、舘越村の住民が、その地域の水道水が安全レベルになっても、そんな水飲めるかと言う発言があった。これぞ風評被害の原点ではないかと思った。当事者でもそうなのだから、他の地域ではましてや推察された。健康や生命の危機の際の人の心理はそのようなものだろう。何となく危険のように感じられる品と何となく安全のように感じられる品が目の前にあれば、何となく安全のように感じられる品を入手する心理はそれこそ何となく理解出来る。一方、放射線被曝について理解が広まり風評被害に負けないで対応している人々も目立つようになってきた。仲買市場を介さない産直の賑わいがテレビで放映されたがこの後も続くだろう。救われた感じがする。また、放射性物質拡散に対する行政の動きに対して唐突であるとかの批判が出ている。現政権を擁護するのではないが、初めての事件なので全てが唐突であることは確かであろう。避難区域や警戒区域の設定など法律に基づいての行動が発せられる行為なのだから。しかし当該法が国会審議を経て官報に収載された時、これに目を通した人は100万人以上いる秋田県民の中で地方自治体の首長を含め何人ぐらいいたのだろう。ここから情報発信が行なわれれば唐突とならず、予定された行動となったかもしれない。しかし計画避難の説明は、それが法律に基づいたものにしては被災した人々の現状を認識したものとは思われず政府からの話は不充分な感を否めず、官房長官の「ただちには」の発言は放射線障害には急性と慢性があって急性については心配ないが(計画避難で示された如く)慢性の障害については経過をみていくという意味であるにしてもわかりにくい。いずれ、その法律を作製した前政権の態度を含め当該責任者そして政権担当者を選んだ国民についても今後検証されていくこととなろうが、うやむやにならなければよいと考える。
 放射性物質は体内に取り込まれても代謝修復過程によって排泄され、PCBやダイオキシンのように蓄積濃縮されるわけではないので、定年退職医者である自分は心配していない。乳児や子供の保護が主となろうしパニックになる必要はないと考えるが、首都圏の4000万人が買いだめに行動をとれば、流通量は2倍になっても品薄になる恐ろしい人口の力である。未だに電池は、単1,2を中心に店頭に並ばない。更には煙草も見られなくなり禁煙(休煙?)せざるを得ない人も多い。これも人の心理であろう。
 これから復興に向うだろうが、被災者の避難先での発言の中に気になることがあった。避難所から他県へ移って行く人々に避難所の責任者から、この地を去るなら再び戻ってきても仲間としては受け入れ難い。我々がここで大変な思いをしながら頑張って復興させて生活が成り立つようになったら、水も電気もガスも食料も充分な所で生活して戻って来る人を迎えうるかは難しいと言っていたことである。今後のことで問題が生じなければ良いがと案じられる。更には、阪神淡路大震災の時、発生後3ヶ月の避難所には復興に向った人々は去り、復起の計画を作ることの出来ない人々が残っていたという。今回も予想される事であろう。この方々に対する支援も考えなければならないだろう。前回の大震災における対応が参考になろうが大きな問題として残りそうな気がする。
 いろいろとつぶやいてしまいました。子供の頃、海水浴に行き、大変お世話になった親族の家が3軒流され、懐かしの建物は完全になく、その中で従妹が遺体で発見された自分の情況であるが残りの人生を前向きに進みたいと思っています。頑張ろう日本。悪文ご容赦ありたし。この次は三浦進一先生にお願いします。



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