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Afterword to the Newsletter: [Pen Relay]
  秋田市医師会報のあとがき「ペンリレー」のご紹介です。
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秋田わか杉国体救護所体験記
秋田赤十字病院 作左部大
 9月29日から10月9日まで、「君のハートよ位置につけ」のキャッチフレーズで秋田わか杉国体が開催された。秋田県は天皇杯と皇后杯をともに初めて獲得し、国体の様子は新聞でも大きく報道された。「こころひとつに、県民総参加」のかけ声のもと、開会式や閉会式などに救護班として当院からも多数の医師(延べ30数名)、看護師、事務員が動員されることとなり、私も開会式に救護班として参加した。
 開会式の数日前に、日赤の救護服と秋田わか杉国体救護係業務マニュアル、開会式入場券が医局の机の上に置かれていた。マニュアルには業務内容や医薬品一覧、傷病者発生時のフローチャート、救護所の配置、救護班のメンバー、タイムスケジュールなどが書かれていた。集合時間は29日の7時に病院前で、解散は19時予定となっていた。
 当日は、朝5時半頃に起床し、食事をとる。6時30分頃には病院へ到着。前日に執刀した86歳の大腸がん患者を診察後、医局で救護服に着替えて7時に病院前へ行った。開会式の救護班には病院から約30人が参加しており、全員が遅れることなく集合していた。ところがここで、開会式の入場券を渡されていない看護師が6人いることが判明した。しかし、この場ではどうにもならないため、とりあえずそのまま車に分乗して競技場に向かった。7時40分頃、雄和の県立中央公園に到着。公園端の第1駐車場へ誘導され、そこから約1km歩いて陸上競技場へ着いたが、案の定ここで入場券を持っていなかった看護師6人は中に入れてもらえず、臨時の入場券を発行してもらい、救護本部のある競技場の中に入るまで約30分を要した。開会式当日の救護班は医師1人、看護師2人、県の実施本部員1人の4人で構成されていた。私は第2救護所(第4入場口の外に置かれたプレハブ)担当だった。救護本部でボランティアも含めた救護係全体の簡単なミィーティングを行った後、8時30分頃に各自の救護所へ移動した。救護所に到着後、実施本部員に鍵をあけてもらって中に入る。1週間前にリハーサルを行ったらしいが、その時はこの救護所は閉鎖されていたようで、ここを担当する県の方も中を見るのは初めてだと言う。中には簡易ベッド、つい立て、テーブル、パイプ椅子、冷蔵庫、AED、薬や薬品の入ったトランクが2個、古びたストレッチャー、扇風機などがあった。まず、じゃまなストレッチャーを外へ出し、簡易ベッドや椅子、テーブルなどの位置を設定して移動を始めたが、整理も終わらないうちの8時40分に、「腹痛の薬をもらえませんか」と警察官が2人来た。宮城から警備の応援に来た人達だった。朝からおなかがキリキリ痛いが下痢はしていないという。置いてある薬品の内容や場所を確認する前だったので、どこに何があるかもわからず、紙を見ながら慌てて薬を探して、内服薬を渡した。(数日後、警備の応援に来ていた宮城県警の警察官数人にO-157が発症していたことが報道されていた。)救護所開設後、実施本部員が救護本部に無線連絡することになっていたが、当日まで無線を使ったことがなかったらしく、扱いに苦労して、なかなか連絡が取れなかった。結局、携帯電話で連絡をしていた。その後しばらくは、患者よりも関係者の対応に追われた。来年に国体開催予定の大分県と再来年予定の新潟県の視察団が、入れ替わり救護所に訪れた。救護所の中の写真を撮ったり、救護所の数や構成、準備された医薬品の中身を聞かれたりした。(その後も何度も、「どのくらい患者が来ましたか?」、「どんな患者が来ましたか?」と救護所を訪れる人たちの状況を調査しに来た。)さらには、秋田県の担当者も設置状況を確認に来たり、AEDの写真を撮ったり、おまけに開会式に観客として来ていた日赤の関係者も何人も入場前に立ち寄っていった。9時20分頃からようやく一般の方たちの入場開始。その間は、観客が数人、擦り傷でバンドエイドをもらいに来た程度であった。11時からオープニングセレモニーが行われたが、救護所は競技場の外にあったため、演技はほとんど観ることができなかった。セレモニーの間には、70歳で軽度のALSと診断されているという女性の方が、気分が悪くなったといって付き添いの人と一緒にきた。血圧が低く、待ち時間が長かったためか、体調が悪くなったようだった。ベッドで休んでいたが、天皇陛下がお見えになる頃にはスタンドに戻っていった。その他には、設備の作業をしていた人が指をカッターナイフで切ってしまい、受診。この人は国体の手伝いのために北海道から来ていた。縫合セットはなかったが、きれいな傷だったので軽く洗浄してカットバンを張り、後で医療機関を受診するようにお話した。選手団の入場行進が始まる頃には、9月12日に大腸の手術をして、26日に退院したばかりという59歳の男性が、腹痛を訴えてきた。「やめようかと思ったけど、せっかく抽選で当たったのだから来た」という。わざわざ秋田わか杉国体のTシャツを着ていた。休んでもらっていたが、秋田県選手団が入場する頃に慌ててタンドに戻っていった。それ以外では、出演する演技者が荷物置き場に利用したり、子供のおむつ交換場所に使用されたり、「喉が渇いたから水をもらえませんか?」とか、「薬を飲むための水をもらえませんか?」という人達も何人も来た。開会式の最中は、フィールドから女子高校生が2人、倒れて運ばれて来た。佐賀県のなぎなたの選手と埼玉県の水泳選手だったが、チームドクターの付き添いはなかった。頭痛が強かったので、県で準備してくれた薬を内服してもらった。おかげで症状は楽になったが、後でドーピングに引っかからないかどうか聞かれ、「大丈夫だったと思う」とうろ覚えで答えたが、自信はなかった。国体の救護に参加するなら、少し勉強しておけばよかったと思ったが後の祭りであった。(幸い、わか杉国体ではドーピング違反はなかったと新聞に載っていた。)開会式は約10分遅れで15時8分に終了した。開会式終了後に、北高の合唱隊の子が運ばれてきた。聞くとこれから閉会式の練習をする予定だと言うので、これからまだそんな予定があるのかと少々驚いた。陸上競技場では簡易用の照明を点灯して、撤去作業が始まり、巨大なスピーカーなどが次々に運び出されていた。開会式終了後もどうしてこんなに遅くまで救護所を開設していなければいけないのかと始まる前は不思議に思っていたが、こういった人たちのためにも必要なことを実感した。17時過ぎ、北高生は友達と帰っていった。17時10分過ぎに救護本部から救護所を閉鎖するようにとの連絡が入る。この救護所は、あとは閉会式まで使用しないため、整理して鍵をかけて閉鎖し、救護本部に他の救護班とともに集合。集合してからも何回か、「今から受診してもいいですか?」という問い合わせの電話があったが、そのまま医療機関を受診しにいったようで、結局は誰も来なかった。開会式当日の救護本部は17時45分で終了となった。その後、18時20分頃に病院着。最後にもう一度、手術患者を診察して帰宅した。
 自分の準備不足を実感したが、国体が秋田で開かれたのは46年ぶりとのことであり、山田敬蔵さんのような人でない限り、もう2度と経験することはないであろう貴重な体験?でした。
 次は、同期の小泉病院伊藤正直先生にお願いします。


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