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Afterword to the Newsletter: [Pen Relay]
  秋田市医師会報のあとがき「ペンリレー」のご紹介です。
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サッカーの戦術について
中通総合病院 芦田 匠
 中通総合病院研修医2年目の芦田匠と申します。この度、同僚の湯川涼介先生からバトンをもらい「ペンリレー」を執筆させていただくことになりました。内容についてですが、以前秋田医報の「若手医師のページ」で自己紹介をさせていただきましたので、今回は私の好きなサッカーについて書かせていただきます。皆さんサッカーは好きでしょうか? 自己紹介でも述べましたが、私は小学校2年生から中学校3年生までサッカーをしていました。当時の私は観戦していてもほとんどの時間が退屈であまり面白くありませんでした。皆さんも多くの人はゴールシーンやスーパープレーに興奮し、そのために試合を観ているといっても過言ではないと思いますが、そういった場面はほんの一部です。しかし、ゴールシーンやスーパープレー以外の一見退屈な時間でも面白さが分かるようになると世界が変わります。実際、私は大人になった今、サッカー観戦を楽しめるようになりました。ですので、皆さんにもこれまで以上にサッカー観戦を少しでも楽しんでいただけるように魅力を伝えたいと思いますので、拙い文章ですが最後までお付き合いいただければ幸いです。
 「サッカーは将棋やチェスに似ている」とよく言われます。将棋における王手、チェスにおけるチェックメイトが、サッカーにおけるゴールシーンに当たります。勝つためには王道もしくは最適な戦法・攻め方があり、これがサッカーにおける「戦術」です。このイメージを持つだけでもこれまでとサッカーの観方が変わると思います。これからごく一部ですが、戦術の基本の考え方を書かせていただきます。
 まず前提として、サッカーというスポーツは相手の陣地(スペース)を奪い合う競技です。約100m×約70mのコートの中で攻撃側はスペースを攻め、守備側はスペースを守ります。攻撃側は、スペースがあれば顔が上がり前向きにプレーでき、スペースが広ければ広いほどボールは安定するため、スペースは常に攻撃側に有利に働きます。なので守備側はスペースを守るため、基本的に「ゾーンマーク」という守備をします。ゾーンマークは図形で考えると分かりやすいですが、サッカーコートは四角形なので、ゾーンの形は「三角形」もありますが「四角形」が基本になります。ゴールキーパーを除いた10人という限られた人数で、約70mという横幅をカバーしつつ、四角形のゾーンを作り、真ん中にあるゴールを守るためには、「4-4-2」というフォーメーションが最も最適です。「4-4-2」とはディフェンダー4人、ミッドフィールダー4人、フォワード2人という意味で、選手2人を線で繋いでいくと「凸」のような形になります。このような理由で基本のフォーメーションとして「4-4-2」が昔から使われてきました。
 では、このゾーンマークに対して攻撃側はどう攻撃するべきでしょうか?それを考える上で最も重要な概念が「ゲート」です。ゲートとは先ほど選手2人を繋いだ線のことです。ゲートにボールを通す手段はドリブル、パス、シュートの3つがありますが、戦術とはゲートにボールを通すことだと言っても過言ではありません。 相手が四角形でのゾーンマークをしてきた場合、相手選手4人の中心に1人位置取るとどうでしょうか?この選手から4つのゲートが見えるはずです。もし、この選手に対してマークにつかなれば4つのゲートに対してフリーでプレーされてしまうため、誰かがマークにつく必要があります。しかし、4人のうち誰がマークにつくのか、1人でもマークにつけば「四角形」というゾーンが崩れてしまう、という2つの問題が生じます。つまり、攻撃側はゾーンの中心に選手を置き、「間受け」を狙うことでゾーンマークを崩すことができます。先ほどの「4-4-2」であれば、4つの四角形に対して4人間受けの選手がいれば良いということになります。
 サッカーにはゾーンマークの他に「マンマーク」という人に対する守備も存在します。欠員がいない限り同人数のため、1人につき1人マークにつけば理論上フリーの選手は生まれません。この状況では、ゲートに対してボールを通すということが難しいため、他の攻撃の仕方を考える必要があります。このようなマンマークを崩すための戦術としては、選手の質で崩す「アイソレーション」や追従の特性を活かして動きで崩す「ポジションチェンジ」があります。アイソレーションは質的有利、つまり個の能力が重要です。能力の高い選手が対峙する相手選手よりも質で上回っていれば、それを活かすことも戦術です。しかし、1人の選手にばかり頼ってしまうと、その選手が怪我や引退などでいなくなった時、通用しなくなります。また、個の質で相手よりも劣っているチームはそもそもアイソレーションは使えません。そこで、ポジションチェンジが必要になります。ポジションチェンジには様々ありますが、その中でも「渦」は最も効率化されたポジションチェンジであり、マンマークを崩すための最適解と言えるでしょう。守備側はどうしても後手に回るので、渦のように回転する動きによってポジションチェンジを行うと瞬間的にマークが外れ、フリーの選手が生まれます。そのフリーの選手にボールを渡すことでゴールに近付くことができます。また、渦のメリットとして相手にボールを奪われても同じ方向に回転することで攻撃と同じ動きで守備に移行できます。
 実際の試合では、全員マンマークはかなりハイリスクのため、1人に対して2人で厳しくマークしたり、マークにつかずゾーンで守ったりと、ゾーンマークとマンマークを常に使い分けていることがほとんどです。そのため、「マークオン」という相手のマークがついている状態の選手と、「マークオフ」という相手のマークがついていないフリーの状態の選手が混在し、同選手でも「マークオン」になったり「マークオフ」になったりします。マークオンは相手選手を引き連れてポジションチェンジすることでスペースを作り、マークオフはゾーンで間受けしスペースを使うという役割があります。つまり、「マンマークに対するポジションチェンジ」と「ゾーンマークに対する間受け」を局所的に行い続けることが、戦術的に攻めるということになります。
 これまで基本的な戦術の考え方を書きましたが、いかがだったでしょうか。 今回は文字数の関係で省きましたが、フォーメーションの変形、死角や逆重心を利用した駆け引きなど、無限に戦術は存在します。サッカーでは、1人の選手がボールに触る時間は、平均して90分あたり、2~3分と言われています。試合の中ではほとんどがオフザボールの状態であると言えます。この長いオフザボールの時間で、何の役割をもって位置を取るかが、ボールを受けた時のプレーに大きく影響を与えます。試合を観戦していると、ついついボールを目で追っかけてしまいますが、ボールではなく今回説明したことを意識するだけで、常に頭を使いながら退屈することなく観戦できると思います。
 最後までお読みいただきありがとうございました。次は中通総合病院研修医1年目の菅原宥介先生に執筆していただくことになりました。よろしくお願いします。


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