②帯状疱疹 コロナウィルス感染症が猛威を振るい早2年、人類はそれに対抗すべくワクチンを開発しました。重症化リスクを予防する効果が認められる中、その副反応にも注目されています。’Moderna arm’や’COVID arm’ などという現象も世界共通語となる中、最近の論文報告で、コロナワクチン接種後の帯状疱疹の発症率が上昇するというようなデータも報告されています(A. Catala,C et al. British medical journal 2022)。 その帯状疱疹ですが、卒業後、秋田で診療しているときは、患者さんが「つづらご」ができて・・・と来院されます。最初、何のことか分からず、先輩に尋ねると、これは帯状疱疹の方言と教えられ、疑問もなく診療をしていました。その後、福岡に異動し診療していると、帯状疱疹患者さんが「たづ」ができて・・・と来院されました。またまた、何のことか分からず看護師さんに尋ねると、帯状疱疹の方言と教えられます。「つづらご」「たづ」、一体その正体は何でしょうか。「つづらご」は、ヒヨドリジョウゴという植物で赤い実をつけます。 また、「たづ」は、ニワトコという植物で、やはり赤い実をつけます。どちらの植物の実もナンテンの実のようで、まさに帯状疱疹の臨床と同様に、神経領域に小水疱が集簇しているように見え、驚きました。なぜ、ナンテンという方言にはならなかったかはさておき、先人は東西問わず、身の回りにある植物からその特徴を捉え、病気の名前として伝わっているわけです。そのような歴史に思いを馳せると、最新論文から得られる喜びとはまた別の感動が得られました。