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Afterword to the Newsletter: [Pen Relay]
  秋田市医師会報のあとがき「ペンリレー」のご紹介です。
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一生に一度
市立秋田総合病院 桑山 信希
  永野篤子先生よりバトンを引き受けました市立秋田総合病院小児科の桑山信希です。生まれは秋田市で育ちは由利本荘市です。高校まで本荘市で暮らしました。紆余曲折を経て岐阜大学医学部を2017年に卒業しました。入学した2011年には東日本大震災があり、ちょうど岐阜大学で入学手続きをしている日に震災は起こりました。秋田に帰る途中東京で足止めをくらい野宿も経験しました。その後何とか帰秋し、数週間後に物資が不足する秋田を離れ岐阜に引っ越した時、物があふれるお店を見て岐阜は遠いことを実感しました。
  さて、何を書こうかしばらく考えたのですが、今このタイミングで書くとしたら、私が大学で身につけたことが一番かと思います。お恥ずかしいことに、私は医学部に入ったときは周りの同級生より一回り年上でした。それゆえ医学生になったら毎日孤独に勉強に明け暮れようと決意していたのですが、現実は全く正反対のものとなったのです。
  岐阜大学では、入学式の前に合宿なるものがあります。オリエンテーションを兼ねているのですが、そのときにある教授が1つだけ守ってほしいことがあると言ったのです。それは何でもいいから必ず体育会系の部活に所属することでした。私は困りました。10年以上運動していないのに運動部はないぞと。卓球か弓道くらいならできそうでしたが、一番の問題は受け入れる側が嫌がらないかということです。そこで考えたのが、私の風体をみて勧誘してくる部活なら受け入れ体制は整っているだろう、そして何に入るか悩むくらいなら、最初に勧誘してくれた部活に入ろうということです。それが運命なのだと自分に言い聞かせました。
  そして入学式当日、会場から一番に出てきた私に声をかけたのがラグビー部でした。目の前が真っ暗になりました。夢か現実かわからないまま、『はい入部します』と弱々しく答えている自分を呪いました。

  地獄の日々が始まりました。CKが一桁しかないようなぶよぶよのおじさんが、ラグビーです。まともに走ることもままならず10歳も下の先輩からは罵詈雑言を浴びせられ、毎日泥と汗と血と吐物にまみれ、筋肉痛でベッドから起き上がるのはホラー映画の様でした。浪人中は精神的にきつかったですが、このころは肉体的にも精神的にもきつかった。今思い返しても、あまりの辛さにくらくらしてきます。最初の1年はただひたすら早く時間が過ぎることばかり考えていました。
  しかし幸いにも体格には恵まれていたので、2年生になるころにはレギュラーに定着し、グラウンドを縦横無尽に走り回り若者をなぎ倒していました。そしてラグビー協会公認のコーチの資格を取ったり、毎年年末には大阪花園競技場に出かけたり、名古屋の瑞穂競技場でラグビーの試合があるとチームメイトと観戦にいったりと、すっかりラグビー中心の学生生活になっていました。まさに第二の青春と呼ぶにふさわしい日々だったのですが、これはラグビー部だったからこそここまで充実した学生生活になったのだと思います。
  私は大学に入るまでラグビーとはまったく接することがなかったのですが、最近では多くの方がそうではないかと思います。だいぶ昔にはスクールウォーズというドラマが一世を風靡し、早慶戦には何万人もの観客が押し寄せていましたが、ここ20年くらいはサッカーや野球の陰に隠れ、テレビでの露出もめっきり減っていました。しかしながら、今年2019年、ついに日本でラグビーワールドカップが開催されます。最近はラグビーの話題がメディアを賑わせているので、なんとなく気になっていた方もいるのではないでしょうか。
  ラグビーはルールが複雑で初めての方には壁があると思いますが、ぜひこの機会に楽しんでいただきたく、ここからはラグビー観戦のいろはを簡単に解説したいと思います。
  まずラグビー観戦の基本は〝お酒を飲みながら〟です。お酒が苦手な方はお茶で結構ですが、要するに小難しい戦略やテクニカルな話は野暮というもので、選手たちの息遣いや体のぶつかる音、トライの興奮を感じることが醍醐味ということです。
  とはいえルールがわからないと、ゲームが止まるたびにイライラするでしょう。ラグビーの基本ルールは3つです。自分より前にパス(落とすのも含む)してはいけない。倒れたらプレーしてはいけない。危険なタックルをしてはいけない。これらを犯したらペナルティで相手ボールになります。再開はスクラムかフリーキックです。
  ラグビーの一番の盛り上がりは、トライシーンだと思います。前進する方法はボールを持って走るか、キックで前に蹴って競るか、相手と押し比べでじわじわ進むしかないので、これらのどれかでトライを狙います。トライで5点、トライ後のキックで2点、ペナルティキックで3点は覚えておいて損はないでしょう。
  守る側が出来ることはタックルだけです。目の前の敵が誰であろうとボールを持っていたらタックルします。自分たちのボールにするには、相手がボールを落とすか、ペナルティをするか、蹴ったボールを捕るか、相手をタックルで倒してプレーできなくなったところで奪うかです。
  【All for one ,one for all】という言葉がラグビーの代名詞として使われますが、まさにタックルシーンでこの言葉が示すものを見られるかもしれません。倒れた選手はプレーできないので、周りの選手は、タックルを受けて倒れた選手にすぐに近寄ってボールを守らなければいけません。ボールを受け取った選手は敵のタックルを受けに突っ込んでいきます。自分はそこで倒れるとわかっていても後ろの味方を信じて突っ込んで行くのです。ほんのわずかでも前進するために。
  こんな馬鹿なスポーツはほかにないと思います。ぶつかるのは普通に痛いです。全力疾走している人に全力でぶつかったら、ちょっとした事故です。日常生活なら救急搬送されるでしょう。ラガーマンは日々の鍛錬で大きなけがを回避していますが、やはり勇気も必要です。国を代表するレベルになっても毎試合恐怖はあるといいます。その恐怖に打ち勝って、彼らは魂のこもったプレーで観る人を魅了します。
  秋の夜長にラグビー観戦などいかがでしょうか。日本でラグビーワールドカップが開催されるのは、数十年に一度、いや一生に一度だと思います。細かいルールは抜きにして、大の大人が勇気を振り絞り恐怖に打ち勝つ様を目の当たりにしませんか。
  次回は秋田赤十字病院 新生児科の山本達彦先生にバトンをお渡ししたいと思います。よろしくお願いします。


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