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Afterword to the Newsletter: [Pen Relay]
  秋田市医師会報のあとがき「ペンリレー」のご紹介です。
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ゴルフ親バカ編:Part2
雄和さくらクリニック 日下尚志
 平成11年6月の秋田市医師会報のペンリレーに「ゴルフ親バカ編」と題した小生の拙文を掲載させていただいた。あれから約2年が経過したが、このたびたまたま再度の執筆依頼を受けたので、はずかしながら前回の続編を書かせていただくことにする。今回も読者の方々に小生の親バカぶりをお笑いいただければ幸いである。さて、某ゴルフ場の「馬刺し」が食べたくてゴルフを始めた我が息子はめでたく中学校へ入学した。息子の通う中学は公立ながら全国でも珍しい新設の中高一貫校である。目新しいことのついでに、中学校開校と同時にゴルフ部ができた。これは平成19年に開催される秋田国体にむけての強化策の一つなのだそうな。校舎のすぐとなりには、市が管理運営する「Rガーデン」なる9ホールのショートホールのゴルフ場がある。これ以上ないほどの環境といって良いだろう。「東北でゴルフ部のある中学は、うちと青森の私立○○学院(きらきらしと輝くような校名、高校は野球で甲子園の常連校、ただし監督も選手もみな関西弁)だけなんであります。」とゴルフ部のコーチは胸をはっていった。こうして息子も入学するとさっそく期待に胸をふくらませてゴルフ部に入部した。練習内容は学校のグランドと体育館での基礎体力づくりと、週2回、近くのPゴルフ練習場(あの池に打ち込むので有名な)へ集合して打ちっぱなしによるスイングの指導、そしてRガーデンでのラウンド練習である。だが、息子は1年生部員ということで、ラウンド練習には参加させてもらえず、ひたすらグランドや体育館でのランニングや腕立て伏せなどの体力づくりの日々が続いた。どんな体育系のクラブでも新入生の練習はまず体力づくり、これは当然のことだが、息子はどうもそれがおもしろくないらしい。自分は小学生のころからゴルフスクールで習っているので、他の同級生とは違うんだという身勝手な思いがあるのだ。上級生がラウンドしているのを体育館の2階から見物していて、「バンカーから出すのに10回くらい打っていた。」とか「○○先生もグリーンをオーバーして防護ネットにボールが突き刺さっていた。」などと帰宅すると得意げに報告するのである。自分が一番うまいと思いこんでいるらしい。井の中の蛙大海を知らず、同級生や上級生よりほんの少しだけ数多く球を打ってきたという、単にそれだけの違いなのだが…。
 秋田県ジュニアゴルフ選手権大会の参加案内がきたのはちょうどこのころであった。参加資格は小学生から高校生までとある。ジュニアゴルファーにとって普段の練習の成果をためす年に1回の「公式戦」なのだが、なんと息子の中学校からの参加者は皆無であった。誰も参加したがらないし、学校側も勧めていないのだという。息子は無謀にも「僕一人でも出る。高校生を負かして優勝する。」などと言い張ってきかないので、ものは試し、自分の実力のなさを知らしめる良い機会だと思い、個人参加で申し込んだ。息子の無謀な優勝宣言にあきれ果てたゴルフスクールのレッスンプロからは「あまり下手だと同伴プレーヤーに迷惑がかかるので、大会当日までうんと練習すること。」とクギをさされていた。大会まで一ヶ月もない。とにかく少しでも多くラウンドさせなければと、週末には近くのRガーデンや市内の河川敷にあるRサイドグリーンなどのショートコースヘ連れて行き、左右に乱れ飛ぶ球を追いかけ、親子で走りまわる。まだ18ホールの本格的なゴルフ場をラウンドしたことがないので、ある日某病院のゴルフコンペに特別に参加させてもらったが、朝から体調不良でハーフも終わらないうちに腹痛、嘔吐でリタイア、同伴プレーヤーの看護婦さんたちに介抱してもらう始末である。こんなありさまで大丈夫かい?最初は威勢のよかった息子もすっかりしょげかえってしまい、大会が近づくにつれだんだん情けない顔になってきた。「まあ、スコアはどうでもいいじゃないか。上手な人たちの足を引っ張ってこい。」と小生もわけのわからない叱咤激励をする始末。結局充分なラウンド経験のないままほぼぶっつけ本番で大会をむかえることになった。
 ジュニアゴルフ選手権の会場は県南の市民ゴルフ倶楽部である。18ホール(6133ヤード、パー70)とあるが実際は9ホールを2周することになる。距離的にはやや短いが、小川(クリーク)やくぼ地、バンカーなどがたくみに配置されており、砲台グリーンは傾斜がきつく、スコアをまとめるには結構苦労するコースである。しかも重いゴルフバックを肩にかついで(カートもなく、もちろんキャデイーもいない)、もくもくと歩きながらラウンドするのは中学1年生にとっては大変な重労働である。それでも前日の練習ラウンドではバックをかついで、「もくもくと」、ではなくて「バタバタと」右へ左へと走り回り、冷や汗をかきながらも何とか114のスコアでまわった。もちろん一緒に帯同(?)した小生も汗だくであった。そしていよいよ大会当日、朝から快晴である。早朝、近くのPゴルフ練習場で軽く練習した後、集合時間の7時30分に間に合うように県南のO市にむけて出発した。秋田自動車道を南下するうちに、だんだん雲行きがあやしくなり、K町あたりからとうとう雨が降りだした。風も強くなってきている。「雨や風が強いとスコアをくずしそうだなあ。」などと車の外を眺めながら息子がぼやいている。「そんな心配はしなくてよろしい。」と妻が一喝。確かに雨だの風だの心配するレベルではない。O市民ゴルフ倶楽部についたころ雨はあがったが、相変わらず強風であった。参加人数は小学生から高校生まで20人ほどである。全体のレベルのほどは明らかではないが、70台でまわる高校生とか、仙台のゴルフの名門丁高校に進学していてプロをめざしているという女子選手もいる。息子は3組目のスタートで、息子と中学3年生が二人、中学3年生が一人というパーテイーである。午前8時。高校生たちからスタート。やはりスイングの鋭さ、打球の弾道が違う。1番360ヤード左ドッグレッグのミドルホールも、150ヤード地点でコースを横切る小川(クリーク)をキャリーで楽々と飛び越して、フェアウエイをキープ。250ヤード近く飛んでいるだろう。ここまで飛ばせばドッグレッグも関係ない。そしていよいよ息子の組のスタート。他の3人はいずれも息子より体格がよく、ドライバーも200ヤード以上と大人顔負けに飛んだ。息子は小さいので体格は後の組で打つ小学生たちと変わらない。4人目に息子の番…。教えたとおり2回、3回と素振りしてから、緊張した面もちで静かにアドレスにはいる。レフテイーは珍しいので、「ホーッ、左か。」と競技委員席からもれるつぶやき…。頼む!空振りだけはしないでくれっという心の叫びが通じたのか、「パシッ!」と打ち出された球はフェアウエイ方向にナイスショット!ヤッターと思ったのもつかの間、フェアウエイ中央150ヤード地点に落ちた球はトントンとツーバウンドして小川(クリーク)の中にポチャッと消えてしまった…。昨日の練習ラウンドではあのクリークまで届いていなかったのに…。息子はバックをかついで歩き出す。「落ち着け!」なんていってもとても耳には入っていないだろう。クリークの手前にドロップして3打目。なんとバフィーを取り出して、林越えにショートカットしてグリーン方向をねらっている。こら、落ち着け!そんなかっかしているときにウッドを持つやつがあるか!アイアンで刻め!なんて心の中で叫んでも通じるわけがない。案の定、左へおもいっきりシャンクして林の中へ…OB!また、打ち直し。息子はバックをかついでグリーン方向へ歩いてゆく。その後はどうなったのか、父兄、保護者はプレーヤーと一緒にコース内へ入ることができないので、応援もできない。こうなったら無事にホールアウトしてくれることを願うのみである。「同伴プレーヤーの足を引っ張ってこい。」の冗談が本物になりそうな気配であった…。この出だしのホールで11打をたたき、その後もOBを連発した息子は結局アウト68、イン58の126でホールアウトした。ぐったりと座り込んでおにぎりをぱくつく息子。「途中で倒れないでちゃんとホールァウトできたんだから…。」と慰める妻。確かにOB6発がなければ練習ラウンドと同じスコアだし、初ラウンドにしては上出来かと考え直すことにした。それにしてもこの日は強風のためか、上位のスコアも伸びず、優勝スコァは85、こんなスコアでも息子は7位、息子に足を引っ張られた同伴プレーヤーの二人は息子より悪いスコアとなってしまった。
 あれからまもなく一年が過ぎようとしている。息子はこの間、ラウンドだけでなく、学校の課外授業と称してゴルフ練習場での球ひろいや芝生の草むしり、砂の運搬なども経験させてもらった。スコアも大事だが、それ以上にゴルフを通して礼儀、他人への思いやりなどの社会性をも身につけて欲しいと思う。一方では念願かなって、ついにTカントリークラブ名物の「馬刺し」にありつくことができた。Mカントリークラブの「焼き肉ビビンバ定食」も大好物のひとつである。某ゴルフ場の「にぎり寿司」はワサビをきかせすぎだなどと、文句をいっている。そしてまたあのジュニアゴルフ選手権の季節が近づいてきた。やれやれまた遊んでやるか、とため息をついてはみたが、実は遊んでもらっているのはこの私自身であるということを、賢明な読者の方々はすでにおわかりであろう。


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