今は4月である。新年度、春、桜だが、職場では去る人もおり、わびさびを感じる時期でもある。と、かく言う私もあと2年で定年退職という歳になってしまった。定年後どうしよう。今のところ人生設計が全くないので、未来は暗澹としている。まあ、とりあえずは一線を退くので趣味などの時間は増やせそうである。義父が現役時代、定年退職後に趣味のやりたいことがたくさんあって、楽しみでしょうがないと言っていたことを記憶している。はて、趣味? 何かあったっけ?と思うのである。 中学時代はプラモデルにハマっていた。作るのは主に大戦機である。丁寧に作りプラカラーで仕上げる。時には改造する。机の引き出しをあけると、72分の1のプロペラ戦闘機が列線をなして並べられており、ホビー空軍と称して眺めては大空へのロマンに浸っていたものだ。まあ今やればオタクっぽいけど、老眼で手先も不器用になったし、何よりもプラモデル一つ作る根気が持続しそうに ない。 高校時代、合宿中に友人から借りたCB50でバイクの魅力に取りつかれた。タンクの下で鼓動するエンジンに心を奪われたのである。高校卒業とともにバイクを購入して通学のみならず、ツーリングにも行ったりした。自由自在に風となる感覚は素晴らしい。就職以降、ヒマがなくなってバイクを手放してしまったが、これには再挑戦してみたい誘惑がある。でも、衰えた体力や反射神経を容 認できるだろうか。世の中に迷惑をかけてもなるまい。 学位実験をしていたころはストレスからか、エアソフトガンにのめり込んだ。これはモデルガンのように実銃そっくりだが、ガスの力でBB弾を発射できるもので、ビールの空き缶くらいなら貫通する威力もある。10丁くらい集めたと思う。映画「タクシードライバー」の見過ぎか、小型拳銃のモデルを脇の下に吊ったホルスターに入れて隠し歩いていたから、我ながらかなりアブナイやつであった。サバゲーというジャンルもあるが、いい歳してなんだかなあ、である。 40代後半になってスポーツ自転車に乗るようになった。マウンテンバイクとロードバイクの二刀流である。レースやヒルクライムなどの競い合いはしてこず、のんびり走りたいと思っていたので、今でもロングライドイベントなどに参加しているが、実は坂道で心拍はリミットに達し、尻の痛みに耐え続ける、かなりのマゾヒズムの世界なのである。いつまで続けられるものだろう。もっと楽に楽しめばよさそうなものなので、サイクリングとキャンプを組み合わせれば楽しいかなと思ったが、昨今の熊騒動でキャンプも怖い。自転車では熊からは逃げきれないのである。 こうしてみると、継続してそれなりのレベルに達していて、今後も続けて極めて行けるような趣味がない。ゴルフを始めるのも今更という気がするし、定年退職後を充実させる、よき趣味はないものか。
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