この数年間、私は夢のような現在(いま)を生き続けている。Nightmareと感じる瞬間もあったが、いまはまさに桃源郷的白日夢の日々である。現実なのか夢なのか、自分でも追いつくのが大変なくらいの早さで全てが変わっていく。数年前には考えもしなかった現実を私は生きている。幼い頃通信と言えば、手紙か電話であった。文字を書くのが苦手だった私は手紙を書くのも苦手で、人にものを伝えるのも苦手だった。電話と言えば真っ黒くて、真ん中にダイアルがあって、指でぐるりと回して、といった重厚な「お電話様」であった。会話も苦手で、人と気持ちでつながるのが、とても難しく感じられた。中学・高校と運動部に入り、先輩・後輩の人間関係は理解できるようになったが、それでも得意ではなかった。そんな私が大学に入って、軽やかでフラットな横につながるような人間関係は十分には作れなかった。医師になって最初に求められたのが「患者さんとの円滑なコミュニケーション」であり、これにも苦労した。「医師生活○○年!」という平たいカエルが出てくる昭和のアニメに出てきそうなキャラクターに近い年齢になって、やっと人並みにやり取りができるようになったかな、と思っている。 かくのごとく人とのコミュニケーションは難しいと思っていた私のもとに、3年前に突然1本の電話が来た。その人曰く「もう30ウン年も経っているので、先輩は忘れてると思うんですけどぉ……。変なヤツと怪しまれても仕方ないと思うんですけどぉ…。○○○(私の出身中高一貫校)で先輩が部長(高校2年)の時に中学1年生だった▲▲です」。私の心の声(以下心の声に省略)「??…もしや、新手のキャッチセールスか?いやまて、もし本当だったら奇跡だ!もう少し話を聞いてみよう」現実の私「(極力冷静を装って)…で、同期には誰がいたの?」▲▲「お○○(超優秀、現役で東大合格した男)とか、い△△(いつも飛び跳ねていた元気な奴)とかです」心の声「マジですか~本物じゃん!」現実の私「…でどうして俺がここにいるってわかったんだ?(若干上ずった声で)」▲▲「ちょうど○○○の部活の同窓会があるから日本に戻ろうと思っていて、同期から先輩が見つけられたら声かけてって、言われて」心の声「?」現実の私「いま、どこいるの?」▲▲「今、マイクロソフトの本社で働いているので、アメリカにいます」心の声「ひょえ~~~!!」▲▲「で、ちょっと検索してみたら先輩だってわかって、それで電話しました」心の声「…すごすぎてなんもいえねぇ」。というわけで数千キロ離れた海の向こうの彼としばし談笑した。私はその会への出席を考えたが、コロナ禍の最中でもあり断念せざるを得なかった。だがこれは、桃源郷的白昼夢への序章でしかなかったのである。(次回の当番投稿に続く(笑))
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