今年も終わりに近づいて、書店では来年のカレンダーを見かけるようになりました。動物写真のカレンダーではイヌとネコが相変わらずの人気。何種類も置かれています。自分のうちのでもない犬を見て何か楽しいのかとちょっぴり思う私ですが、実は毎年トリのカレンダーを探してしまいます。でもなかなか見つかりません。カピバラやミニウサギ、果てはアルパカまでいるのに。動きがない写真ではトリの魅力は伝わりにくいからかもしれません。 セキセイインコを飼っています。 インコには表情がありません。軽い体を手に入れる進化の過程で表情筋は失ってしまったとか。それでも頬っぺをなでると目を細めて喜びます。まぶたを開閉する筋肉と、くちばしを動かす筋肉は残っているのです。羽をふくらませたりいからせたり、頭を上下に激しく振ったり、てこてこ歩いたりと全身を使ったお茶目なしぐさでも感情を表現しますし、ヒトのおしゃべりを真似るのも得意です。 そしてもう一つ、写真に映らないインコの魅力が『香り』です。トリのにおいというと、鳥小屋のむっとした動物っぽい匂いを連想しますが違います。あたりに漂う強いものではないのですが、インコを指に乗せて背中に鼻をぐりぐりすると、そこはかとなく香ります。それは、干し草のかおり、あるいは日向のかおり。木を鉋で削ったような、優しい香りです。これはセキセイインコに共通するらしく、あるテレビの動物番組でも飼い主さんの声がたくさん寄せられていて驚きました。ネットで検索すると更に多数の投稿があり、インコの香りを満喫するための香水なるものも販売されているようです。うちのインコだけじゃなかったんだ…。ちょっとがっかりです。 曰く、「癒される」「くせになる」「うっとりする」など。ソムリエ氏によるテイスティングの結果は、「クルミをかんだ瞬間に立ちのぼるナッツ系の香り」「煎る前の白ごまの香り、すりつぶしたごまだれのような香り」と表現されていました。つまりは、香ばしい、でしょうか。 知ってしまうとつまらない、その香りの正体は、というと「尾脂腺から出る、においのある油」だそうです。羽づくろいの時に全身の羽に塗ることで羽の保護をしたり、匂いで仲間を判別したり、繁殖期には匂いがきつくなってオスとメスを嗅ぎ分けたりするためのもの。 ペットショップに行く事があったら、セキセイインコのカゴにうんと鼻を近づけてみてください。インコは草食なので鼻をつつかれてもたいして痛くないと思います。 今年度から会報編集委員に加えていただいている大門でした。よろしくお願いします。セキセイインコの名前はぴーくう、8ケ月のオスのインコです。
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