がん検診、自殺予防対策、認知症予防対策
秋田市医師会ホームページへ、ようこそお越しくださいました。秋田市民の健康・福祉・介護の一端を担っている者として、日々診療に当たっている我々ですが、毎年6月に出てくる統計結果には、正直声なき声で非難されているようなつらい思いをしております。今回は、秋田市医師会がこうした問題をどう捉えているのか、お話してみたいと思います。
本年6月5日に厚労省が発表しました人口動態統計によりますと、2012年の本県の自殺率は27.6で前年に比べ4.7ポイント減と改善はしたものの18年連続ワーストであり、がん死亡率は16年連続ワースト、心疾患死亡率は全国で5番目、脳血管疾患死亡率は全国で最も高く、出生率も18年連続全国最下位、死亡率も全国ワースト、出生率から死亡率を引いた自然増減率はマイナス7.8で全国最下位、婚姻率も13年連続最下位と、相変わらず惨憺たる状況が続いております。2010年秋田県地域がん登録の集計報告によりますと、登録精度の指標であるIM比(粗罹患数/死亡数)は登録率を包含した医療水準を反映する指標となるそうですが、全県では2.22ですが,秋田市は2.83と全県トップの値です。2007年全国がん罹患率モニタリング調査の推計値は全国で2.09ですので、本県のがん医療は総体的には全国水準にありますが、個々の診療領域には全国水準との格差があることが示唆されました。即ち、大腸、前立腺、子宮、皮膚、膀胱、血液の6部位は全国値を上回りましたが、胃、肺、乳房、食道、膵、胆嚢・胆管、肝、腎、リンパ、口腔・咽頭、甲状腺、中枢神経、卵巣、鼻腔・喉頭の14部位は全国値に達していませんでした。早期発見の最有力手段の検診受診率はまだ低迷しており、がん死亡率ワーストを脱却するためにはさまざまな対策が講じられておりますが、残念ながら未だに目に見える実績が挙げられないでおります。秋田の県民性はラテン系だと良く言われます。ラテン系の意味は厳密には分かりませんが、一般的には明るい、くよくよしない、細かい物事を気にしないと考えられています。昨年1月に出版された著書「長寿と性格―なぜ、あの人は長生きなのか」によれば、一般に「社交性のある楽観主義者」はストレスを貯めないので長生きし、「真面目で神経質」な性格の人はストレス性疾患によって平均寿命まで生きていられないと考えがちですが、実際には「陽気で楽観的な人は短命であり、社交的な人気者は早死にするが、一方真面目な人ほど長生きする」と、あります。高血圧等で通院している患者さんでも胸部レ線や心電図等の一般的検査でさえも頑なに拒否する人がいますし、糖尿病でせっかく体重を落とす事が出来たのに周囲の人に、「やせたのはどこか悪いところがあるのではないか」と言われ不安に感じながらも糖尿病以外の検査を受けようとしない患者さんもいます。まして、普段病院にかかっていない人や特定健診の該当者でも健診を受けようとしない市民はまだ多いように思われます。がん死亡率ワーストを返上するためには、こと健康に関しては真面目で神経質に性格を変えていってもらう事も必要と思われます。
自殺者は293人で、32年ぶりに300人を下回りました。前年より53人の減少で、全国の自殺率(前年比1.9ポイント減)と比べ大幅に改善しました。46番目の新潟県との差は1ポイント余りとなり、残念ながらワースト脱却はできなかったものの、もう少しで脱却できる段階にきていることは明らかです。今後とも、気を緩めず官学民一体となって、自殺率ワーストを返上すべく、地道に自殺予防活動に務めて参ります。 秋田市医師会は認知症患者の急激な増加に対処するため、昨年度から認知症予防対策を業務に加えました。認知症患者は多職種によるネットワークで支えなければなりませんが、その中核になるのが医療では認知症疾患医療センターであり、介護では地域包括支援センターです。認知症疾患医療センターは本年10月に県立リハビリテーション・精神医療センターに地域型が開設される予定となりましたが、場所が大仙市協和であり秋田市内の患者にとっては利便性に欠けます。秋田市における対応について、当医師会認知症予防対策委員会において協議して参ります。
大きな課題だけでも以上の3つありますが、秋田市医師会はこれらの課題に対して、心を合わせて一丸となって対処していく所存です。秋田市民の皆様には、これらの問題に対しての秋田市医師会の取り組みについて、ご意見・ご要望・ご提言等ございましたら、当医師会事務局までご連絡いただければ幸いです。 (平成25年8月1日)
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