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会長挨拶
 
 秋田市医師会長 福島幸隆
地域医療崩壊と医療制度改革
秋田市医師会のホームページにアクセスしていただき、ありがとうございます。いつも見慣れている商業ベースで運営されるホームページとは異なり、派手さや耳目を驚かすトピックスもあまりありませんが、困った時参考になる確実で身近な情報として、市民の皆様に提供しています。

 さて、内閣府が平成19年3月31日に発表した「社会意識に関する世論調査」によりますと、悪い方に向かっている分野に「医療・福祉」を挙げた人の割合は31.9%に上り、昨年2月の前回調査の19%を10ポイント以上上回りました。一方「医療・福祉」が良い方向に向かっていると感じている人の割合は16.5%にとどまり、前回調査を6.6ポイント下回りました。特にこの傾向は70歳以上に高く、高齢者の負担増となる医療制度改革が影響しているようでした。また、今年4月1日までの5年間で全国自治体病院のうち6病院が閉院、17病院が民間へ委譲される等地域医療崩壊が確実に進行しています。県内病院についても、医師不足により診療科の縮小に追い込まれた病院は少なくありません。このように政府の医療政策の失敗によって、医師の偏在だけでなく医師の絶対数不足も明らかになり、小児科を標榜する医療施設や分娩実施施設が大幅に減少して、日本の医療はすでに崩壊の危機に瀕しています。それでも、安倍首相は昨年の「骨太の方針2006」の方針を引き継ぎ、8月10日の閣議において平成20年度予算の概算要求基準で社会保障費を2,200億円削減することを了承しました。 これでは本来、医療を受けなければならない人が受けられないことにつながります。5月16日財務省が財政制度等審議会に提出した資料には、後発医薬品の振替で国民負担額が1.3兆円減少する等の試算は医療現場の実態とかけ離れてます。いずれにしろ、この閉塞的で将来展望をもてない状況にあっても何とか小手先だけの工夫で乗り切ろうとする厚労省に対しては、憤りを通り越して役人の悲哀を感じてしまいます。やはり、正当な診療報酬が設定されなければ、現在の地域医療崩壊を食い止めることはできないと考えます。
 次に、平成20年4月から後期高齢者医療制度、特定健診・保健指導が導入されますが、私はこれら一連の制度改革が医療費の伸びを抑制するための医療費適正化計画であることに、非常に危機感を覚えています。今は地方分権が進行中とのことですが、こと医療に関しては小さな政府ではなく大きな政府で管理することが望ましく、秋田県のように税収の少ない場所で医療が管理される時代が来た時、今までのような公平・平等な医療ができるのか疑念を抱かざるを得ません。ご存知のように秋田県は自殺率が12年連続で全国1位、がん死亡率が10年連続の全国1位、出生率も12年連続最下位、婚姻率も7年連続で最下位であり、人口減少に歯止めのかからない状況となっています。厚労省の推計によりますと、2035年には本県人口は78万3千人となり、2005年の114万6千人から31.7%の減少率は全国1位となる予想です。こうした中での、特定健診・保健指導の導入は予防医学に力を入れるという点で一見良いアイデアのように思えますが、その達成基準の厳しさと達成されなかった時の後期高齢者医療支援金が最大10%の範囲で減額されるというペナルティが課せられるという点が大きな問題です。 秋田県のように平成18年定期健診での有所見率が全国平均49.10%よりはるかに高い60.68%で全国1位(ちなみに、平成17年も全国平均48.39%に対し60.15%で全国1位)であることや先の統計の結果を考慮しますと、達成基準をクリアすることは非常に難しいように思えます。平成26年度からは全国都道府県特例の診療報酬改定ができるとのことですが、これが公平・平等な医療ができなくなる端緒となることは明白であります。小泉政権時代から財政優先の医療費削減政策が断行され、現在の地域医療崩壊という危機的状況を招いています。その上に、来年度から新制度が実施されるわけですが、このままでは地域医療崩壊にとどめをさすことになりかねません。そのため、厚労省に医療費の伸びを抑えるという大義名分を捨てさせ、真に国民の医療福祉増進のための制度に変えていくように市民の皆様と声を合わせて働きかなければならないと考えています。今回はやや難しい話になりましたが、医療は受ける側も提供する側も非常に大変な時期を迎えていることをご理解いただきたいと存じます。
 秋田市医師会は、救急医療体制、各種健診・検診、予防接種、広報、健康教育等様々な事業を行っています。このホームページには、それら活動の一端を紹介しています。忌憚のないご意見、ご提言をいただければ、幸いです。
(平成19年8月30日)
平成19年8月30日 

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