会長2期目に向けて
この度、令和6年6月8日に行われた第142回秋田市医師会定時社員総会で、会長に再選いただきました。どうぞよろしくお願いいたします。1期目の1年目は、まだ新型コロナウイルスの流行がピークとなった第7波、8波の最中でした。もちろんそれまでと同様に、新型コロナウイルスワクチンの集団接種、お盆や年末年始の臨時の検査外来などにも積極的に協力してきました。ところが、昨年の5月8日から新型コロナウイルスの感染法上の扱いが、それまでの2類から5類へと移行しました。これにより、感染者の全数把握がなくなり、定点医療機関による報告のみとなりました。それまでは、連日多くの検査を行い、検査結果が戻ってくるとほとんどが陽性で、それをまた患者さんに連絡し、同時に保健所にも連絡する、という作業は本当に煩雑で手間のかかるものでした。それに加えて、自宅療養者がピークになった時は、保健所からの依頼で自宅療養者の薬の手配を私も含めた7名で行ってきました。それもまた大変手間のかかる作業でした。5類移行によってこれらから解放されたのは、肉体的精神的にとても楽になりました。 そういった理由で、2年目ははるかに落ち着いた環境で、職務に取り込むことができました。コロナ禍で中止されてきた講演会をはじめとする様々な行事が軒並み再開されたために、肉体的にはとても忙しくなり、会長職というのは、やはりこんなに大変なのだと実感させられました。新型コロナが5類移行となってからも、令和5年の8~9月をピークとする第9波、令和6年の2月をピークとする第10波と、流行は続いていましたので、感染対策には、非常に気を使ったこともあり、幸いそれらの行事に関連するクラスターの発生などは起きませんでした。令和2年4月に国内に出された緊急事態宣言以降、不要不急の外出を控え、マスクの使用、手洗い、消毒などが励行されました。季節的に流行する子どもの感染症というのは、だいたいは決まっているのですが、普段なら流行るものが、ほとんどなくなりました。日本人はまじめなので、外出するとほぼ100%の人がマスクをし、公共の場でマスクをしていないと注意され、飛行機も降ろされた、などというニュースもありました。考えてみると、これだけのことで日々の感染症がこれほどなくなる、ということに驚き、いい勉強になったと思います。しかし、最近では外を歩いてもマスクをしている人の方が圧倒的に少なく(実は私もしていませんが)、これから新型コロナウイルスが、決まって流行する夏を迎えます。現にこの原稿を書いている6月中旬でも、6週連続で定点報告は増加していて、今夏に向けた流行が心配されます。 新型コロナの5類移行時は、しきりに「医師の応召義務」という言葉が聞かれました。医師の応召義務とは、医師法及び歯科医師法で定められた義務であり、診療行為を求められた場合には、正当な理由がなければこれを拒んではいけないというものです。応召義務は公法上の義務であり、患者を保護することがその趣旨になります。要は、5類移行後は、発熱患者であっても対応してください、インフルエンザなどの検査をしているところは、コロナの検査もしてください、ということだったのだと思います。最近ではほとんど聞かなくなった言葉なので、検査医療機関も増えて、対応は問題なくできているのだと思っています。 先日の第142回定時総会の報告では、令和5年度の一般会計は、ほぼ5類移行後であったために、コロナ関連の補助金がなくなり、一般会計は、令和4年度と比べると、かなり減収となりました。その翌週には、県の定例代議員会に出席しましたが、県医師会の会計も同様の傾向にあり、その額は大きく、いかにコロナ対策として多くの国家予算が使われてきたか、ということがわかりました。誤解のないように、県医師会や、市医師会に入った予算は、それ相応の感染対策やワクチン事業に使われたので、医師会が潤ったわけでは決してない、ということを付け加えさせていただきます。 医師会事業の中で、1番大きな影響を受けたのが、訪問看護ステーション事業です。考えてみれば、あれだけ多くの感染者数があり、訪問回数やケアプラン作成数などが落ち込むのは当然とは思いますが、大幅な減収となってしまいました。令和5年度の決算では、139万円の赤字で前年度からは赤字幅は76万4千円ほど縮小しました。しかし、以前は医師会本体の会計を支えるほどであったことから考えると、まだまだ課題が多いと思います。早めの黒字化が必須と考えています。 看護学校については、総会でも述べさせていただきましたが、全国的に看護専門学校の運営が厳しくなって、閉校するところが増えているのが現状です。これはもちろん18歳人口の減少にもよると思います。それなら看護大学や看護学部はどうなのかと総会前に調べましたが、倍率が1倍ちょっとのところも見受けられました。また全体でも全国の私立大学の約53%が定員割れしている現状もあり、厳しいのは本校だけではないといえます。県立衛生看護学院が横手に移転してからは、秋田市には本校と中通高等看護学院があるのみです。本校の卒業生は、ごく一部は県外に就職しますが大半は市内、県内の医療機関で働いています。看護師の需要というのはみなさんも感じていると思いますが、決して満たされているとは言えないと思います。看護学校運営は、もうしばらく頑張っていきたいと考えています。 今期は、これまでに比べると落ちついて仕事ができそうです。秋田市医師会のため全力を尽くすつもりです。会員の先生方のご協力も、よろしくお願いします。 秋田市医師会 会長 湊 元 志
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