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<春夏秋冬>

発行日2021/11/10
秋田赤十字病院  下田 直威
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2021年秋 雑感
 
 締切り迫り、この原稿を打っている今10月17日。11月号が発行される11月10日には衆議院選挙も終わって世の中変わっているかも知れないが、今日この頃の思いを連ねた駄文で紙面を埋めることをお許し下さい。
 思えば昨年初頭からのCOVID-19パンデミックで、もはや2年近く右往左往させられてきた。7月23日の東京オリンピック開催にかぶさるように襲ってきた第5波はようやく収まったようだが、今後もさらなる変異株の出現やワクチン効果の減弱などがありそうで、まだまだ気が抜けない。職場の行動指針があり、十分な感染予防対策があったとしても、飲み会や県外へ出ることには躊躇させられる。終息が得られてもコロナ禍以前とはライフスタイルが変わってしまいそうだし、社会全体でも変化を余儀なくされるだろう。マスクや消毒、ソーシャルディスタンスもエチケットとして社会習慣になってしまうのではないか。いっぽう、政府や自治体の一連の対策やマスコミの報道が果たして適切だったのか、検証がなされるべきだろう。のど元過ぎれば熱さ忘れるでは進歩がないし、不幸にして亡くなった方々にも申し訳が立たない。
 9月3日、菅前首相が自民党総裁選への不出馬を表明されたのはショックだった。初めての県出身総理大臣なので内心応援していたのだが、8月にピークを迎えた感染拡大で感情的な世論の風当たりが強かったためか。東北人的な朴訥としたイメージが逆効果だったのか。だれが首相であっても今回の疫病対策は困難を極めたと思われるが、あえて火中の栗を拾った菅前首相には敬意を表したい。ただ、菅氏の続投と思われていた自民党総裁選に、4人が立候補し政策論争を繰り広げたことは意義深いと思われる。結果的に岸田総理総裁が誕生したが、自民党の今後の政策のブラッシュアップにつながったのではなかろうか。それにしても、コロナ対策や経済政策は勿論だが、尖閣、台湾、国防、皇統、拉致、環境・エネルギー政策など、間違えると将来に禍根を残す問題が山積みである。もはや放置はできまい。10月14日、衆議院が解散され、まもなく総選挙が公示される。今まさに国家、国民としての矜持が問われる秋だと思う。
 目を海外に向けると隣の大国の不動産バブルがはじけそうで不気味である。かの国の経済が混乱すれば世界のさまざまな分野に影響が及ぶことは必至だろう。経済の問題ばかりではない。香港、ウイグル、内モンゴル、チベットの人権問題も決して目をつぶってはならないと思う。衆議院選挙後の臨時国会では6月に見送られてしまった人権侵害非難決議は再び提案されるだろうか。
 日々、深まりゆく秋の背後に何かがうごめく気配が感じられてならない。世界は激動期に入っているのだろう。何年かして、あの秋がターニングポイントだったと思い返すことになるのではないだろうか。
 
 春夏秋冬 <2021年秋 雑感> から