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<春夏秋冬>

発行日2021/03/10
秋田厚生医療センタ-  木村 愛彦
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ジェンダーフリー
 
 新年が明けて最大の楽しみは箱根駅伝のテレビ観戦である。箱根駅伝は、2日間にわたる10時間以上に及ぶレースの全行程を毎年余すところなく見続けている。1月2日の放送開始とともに新しい年を迎えた実感が湧く。反面、3日のゴールの後には、年末年始の浮ついた気分もこれで終わり、明日からはまた日常が始まるのだ、という物悲しい気分に陥るというアクセントにもなっている。
 さて、今年の箱根駅伝は、大躍進の創価大学の優勝で往路を終えたが、復路は不可能と思われた逆転劇で駒沢大学が総合優勝を果たした。今年のメンバーはまだ若く来年も優勝かな?いやいや、創価は来年も強そう、青山学院も黙ってはいまい、東海にも有望な新人がたくさん入るらしい・・・やれやれ、来年もまた楽しみだな、といった余韻に浸るのもまた一興なのだが、そんな気分に少し水を差されるできごとがあった。
 箱根駅伝は選手ごとに運営管理車が伴走し、車内から監督がメガホンで選手に檄を飛ばすのも見どころのひとつである。優勝した駒沢大学の監督は「男だろ!」「男なら行け!」などと激励しており、これがジェンダーフリーの立場から見ると「差別的」だとのことで、SNS上で少々話題になったのだ。確かに、もしも男女混合レースのような競り合いでの「男だろ!」は、今のご時世問題だろう。ただ私などは、なるほど名監督は色々なことを言って選手を奮い立たせるのだな、と感心していたのだが、色々な意見があるものと思った。
 ジェンダーフリーとは、「性別にとらわれずに自分らしく生きる権利」だとされている。当然のことであり男女共同参画社会の推進も異を唱えるべきものではない。しかし、こういった思想は、賛成論、反対論を含めていつの世も過激に尖鋭化していく可能性があるため、公的機関などでは誤解を避けるためこのジェンダーフリーと言う用語の使用には慎重になっているらしい。男女は解剖学的、生理学的な相違があり、体力も異なることは覆すことの出来ない厳然とした事実である。お互いにそれを理解、尊重して平等に社会的役割を果たしていくということが本質だと思う。したがって、多少「男らしさ」「女らしさ」を口にしただけで差別ととらえるのは少々行き過ぎではないかと感じている。
 前述の監督の「男だろ」はすでに数年前から耳にしている。しかし、これに対する議論が生じたのは今年が初めてである。男女の違いは迂闊には口にできない世の中になっていくのだろうか。(脱稿後に五輪組織委員会会長の女性蔑視発言がありました。これに関しては全面的に遺憾であることを申し添えます)。
 
 春夏秋冬 <ジェンダーフリー> から