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<春夏秋冬>

発行日2019/11/10
中通総合病院  大門 葉子
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MRI今昔
 
  半年ぶりに「春夏秋冬」の原稿がまわってきました。今年の秋はなにやら体調が芳しくなくて、外は気持ちの良い秋晴れの日々、マラソン日和ですが、私はというと室内に籠って桜の勇者たちの活躍をテレビで観戦するくらいが楽しみ(大いに楽しんではいますけど)。久しぶりにMRI検査を受けたので、思い出すことなどを書いてみることにしました。
  今では一般的な検査として診療に多用されているMRIですが、私が母校の放射線医学教室に入局した頃はまだ特別な検査の感がありました。「MRI部屋」は後から増築されたのでしょうか、中央放射線部から離れた病院の片隅にあり、専任に近い先生が詰めていて、コーヒーの香り漂うちょっと畏れ多い場所でした。シーケンスの種類は多くありませんでしたが撮像時間が長く、コーヒーを飲んで待つくらいがよかったのかもしれません。撮影に時間のかかったことといったらCT検査も同じで、スライス一枚を得るのに何秒もかかり、主治医も放射線科医もモニターの前に頭を寄せ集めて息を殺して次の一枚を待ちました。30分かかっていた撮影が現在では3分ですから、今は昔、です。
  さて私のMRI検査の実際。検査室の中に入ることはしばしばありますが、検査を受けるのは20年ぶりくらいのこと、ちょっとドキドキです。Tシャツに検査着を羽織って眼鏡を外して入室。体内金属はなし。磁場を利用して画像を得るMRI検査は、心臓ペースメーカと脳動脈瘤クリップが2大禁忌でしたが、「MRI対応ペースメーカ」が登場し、クリップの材質も非磁性体が使われるようになっています。体外の金属では昔から入れ墨が有名で、金属を含む着色剤が使われていることがあります。最近では、虹彩が見事に描きこまれたカラーコンタクト、同じ理由で検査前に外していただいています。これからの季節に重宝な「発熱するシャツ」も注意が必要です。
  寝台に横になるとヘッドホンを付けてもらってヘッドコイルが装着され準備完了。トントントン、カンカンカンと撮像が始まります。傾斜磁場コイルの振動によって生じるこの音、かなりの大きさで耳栓やヘッドホンを用意している施設が多いです。機関銃の音を連想させて怖いと話される高齢の方が以前は時々いらっしゃいましたが、最近はそんな声も聞かれなくなりました。ヘッドホンから流れてくる音楽がMRIの動作音と妙にシンクロして変に緊張します。頭を動かさないように気をつけて、規則正しく呼吸します(頭部の検査では関係ないのですが何となく)。
  そして検査結果は。大脳半球の皮質下白質に白い小さな点々が数個。DSWMHと呼ばれるこの所見、加齢や高血圧との関連が言われています。前回撮った時は認めなかったのに…。年齢相応?要注意?症状とは関係ないので経過観察となりました。
※DSWMH:deep and subcortical white matter hyperintensity
 
 春夏秋冬 <MRI今昔> から