【秋田市医師会】公式ホームページペンリレー

　会員の皆様、お世話になっております。中通総合病院研修医の湯川涼介です。昨年ペンリレーを執筆した際から、特に大きな変化もなく生活をしております。大学時代の部活の先輩である秋山光司先生より指名いただき、「私のオススメ」について書かせていただきます。とはいえ、誰にでもオススメできるようなことも思いつかなかったため、今回は私の好きな秋田市外のスポットについて紹介したいと思います。
　一つ目は、湯沢市にある川原毛地獄です。川原毛地獄は、日本三大霊地のひとつに数えられるほど、非日常感が強い独特の景観を
持っています。草木の生えない真っ白な斜面、硫黄の匂い、立ち昇る湯気──この世のものではないような風景が広がり、初めて訪れた人は必ずと言っていいほど「こんな場所が秋田にあったのか」と驚きます。
　そして最大の魅力は、地獄谷を抜けた先にある川原毛大湯滝（おおゆだき）です。全国でも珍しい“ 滝そのものが温泉” という野湯
で、湯の流れる温度が自然そのまま、季節や水量によって変化する野性味あふれる場所です。夏季限定の入浴になりますが、白い大地を歩き、湯煙の中で温泉の滝に打たれる体験は、他の観光地では得がたい唯一無二の魅力です。四季によって景観が大きく変わり、特に紅葉シーズンは白い地獄谷とのコントラストが見事。自然の力を直接感じたい人には、間違いなく最適なスポットです。
　二つ目は八峰町にある白瀑神社の滝です。白瀑神社の象徴である大きな滝は、一言でいえば「神聖で清潔感のある水の景色」です。白瀑という名のとおり、白布を垂らしたように真っ直ぐ落ちる水は迫力がありながらも、どこか透明感と優しさを併せ持っています。夏は緑と白のコントラストが美しく、秋は紅葉に包まれ、冬は滝の半分が凍結し“ 青氷”のような姿になるなど、季節ごとに違う顔を見せるのが魅力です。昨年、初めて友人たちとのキャンプの際に訪れ、滝行というものをしてみました。想像していたよりも水は痛いほどの勢いがあり楽しい体験でした。
　さらにここは、地元の銘酒「山本」の水源の一つとしても知られています。神社のすぐ脇を流れる伏流水を、まさにそのまま生かした酒造りが行われており、滝の清涼さがそのまま日本酒の味わいに反映されているかのような印象を受けます。参拝の後に酒蔵を訪れれば、地域文化と自然のありがたさが立体的に感じられ、旅としての満足度が非常に高い点もおすすめです。
　三つ目は寒風山です。男鹿半島の中央にある寒風山は、標高こそ高くありませんが、山頂に立つと誰もが驚くのは、360度どこまでも開けた眺望です。八郎潟、日本海、鳥海山、白神山地──これらが一枚のパノラマとして同時に視界に収まり、まるで自分が巨大
な地球儀の上に立っているような感覚になります。大正２年に地理学者の志賀重昂が寒風山を訪れ、グランドキャニオン、フィヨル
ド、寒風山を世界三景と言った逸話があるようで、寒風山の話になった際には、話のネタにしています。また、寒風山の特異な丸い山体は火山活動による溶岩ドームで、視界を遮る樹木がほとんどなく、風の流れも一定しています。そのため、ここはパラグライダーの名所としても知られています。怪我をするのが怖いですが、いつか体験してみたいと思っております。
　以上が秋田市で生まれ27年過ごした私のおすすめスポットです。行ったことがないスポットがある方はぜひ行ってみて下さい。
　次回は中通総合病院研修医の後輩である榊颯太先生にバトンを渡したいと思います。よろしくお願いします。