阿部栄二先生からペンリレーのたすきを受け取りました。私が医者になって初めて秋田大学整形外科で働き始めた、1991年に脊椎グループのトップだったのが阿部栄二先生でした。その頃から阿部先生の言葉には含蓄がありいつも拝聴しておりました。ペンリレー706の、“黄金の「林住期」”も、蛍光ペンを片手にじっくり読ませていただきました。 以下阿部先生の本文から。
・リスクをとらない鐘楼期の外科医の方がチャレンジを厭わない世代の若い外科医より手術成績がよいのでお薦め ・高齢者にとって「家族や社会のお荷物ではなく、家族や社会に必要とされている」と日々実感できることが、充実した老後の人生を過ごすのにとても大切 ・草取りをやめたほうが良いと医師が言ってもやめない高齢者にとって、若い人が嫌がる草取りをし、きれいになった庭を見た息子や嫁に感謝され、家族の一員として貢献できていることがささやかな誇りであり、その実感が必要だったに違いない。 ・正確な診断には問診や診察、処置方法などのローテクの練度が必要 ・50歳から75歳までの「林住期」こそが人生の黄金期である にマークし、その言葉を噛み締めました。相変わらず心にしみる言葉です。 私は、2023年4月に阿部先生から秋田厚生医療センター 整形外科を完全に引き継ぎました。完全に、というのは、2017年に阿部先生が定年なさってからも2023年までほぼ通常通り勤務されていたので、つい阿部先生に頼ってしまっていたからです。そして、どのような先輩になったらいいのか?と考える日々を送っています。 私は大学時代サッカー部に所属し、4年生のときには主将をしました。私が副主将だった前年、東医体でベスト4となる快挙をなしとげました。技術的にはさほどうまくなかったと思うのですが、なんとなくまとまりがあるいいチームだったと思います。チームを引き継ぎ、その時は、特にリーダー論の本などは読まず、自分が一生懸命に頑張れば自然にチームはまとまるものだと思っていました。しかし、残念ながら、ビジョンをもたずにただ頑張るだけでは結果はついてきませんでした。 そこで、今回は、同じ轍を踏まないように、本を読むことにしました。2019年にPHPで最も売れたビジネス書、と評価の高かった伊藤正康著の、“できるリーダーは「これ」しかやらない”を手にとってみました。ところが、このようなハウツー本は小説と違ってなかなか集中して読むことができません。とりあえず、チャプターの表題をみると、“できるリーダーの「部下を覚醒させる任せ方」”、“部下が「自分からやりたくなるように」導く”とあり、副題には、“リーダーは自らの経験を封印し、部下に経験させる”、“方針はリーダーが決め、方法は部下が考える”、“「任せる」と「放任」の違いを理解しておく”といった金言が書いてありました。本文は読まなくてもなんとなくわかることですね。 要は、強いリーダーシップを発揮するリーダーより、後輩を見守るタイプの方が良いと理解しました。実際には、後輩とは言っても皆さん医師なので、指導されるというよりは、自分で勉強して勝手に私以上の知識とテクニックをマスターしていますので、私がとやかく考えることではなかったです。 当院の後輩たちは、時間外の緊急呼び出しに対応し、多くの臨時手術を行う、極めて多忙な日々を送っています。2024年4月から医師も働き方改革で時間外労働を制限されます。この働き方改革に対しては、救急が立ち行かなくなるなど悪評もありますが、これまで過労気味だった整形外科医が少しは楽になるのではないかと期待しています。働く環境を良くしていくことが先輩の仕事ですかね。 全くまとまりの無いことを書いてしまいました。ここまで読んでいただきありがとうございました。次のペンリレーのバトンは、今年度から副院長になられた呼吸器内科の福井伸先生にお願い致しました。よろしくお願いします。
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