日本全国で毎週のように数多くのマラソン大会が行われている。コロナの影響で一時中断されていたが、昨年頃から徐々に多くの大会が再開されている。一口にマラソンといってもいろいろな種目があり、42.195キロを走るフルマラソンよりも長い距離を走るマラソンは、ウルトラマラソンと呼ばれ、100キロマラソンはその中でも代表的な種目になっている。フルマラソンでの一般的な目標は「サブ4」と呼ばれる4時間切りで、達成するためには1キロを5分40秒以下で走りきらなくてはならない。それに対して100キロマラソンは、制限時間内にゴールすることを目標としている人が多いが、その制限時間は13~14時間であり、1キロを平均7分50秒程度で、歩くより少しだけ速いスピードで走り続ける事ができれば時間内にゴールできる。年齢とともに走る速度が落ちてきた自分にとっては、「新しい景色を見ることができるのでは」と期待して数年前から参加しているので、いくつかの大会について私見を加えて紹介させていただきます。
「北緯40°秋田内陸リゾートカップ100キロチャレンジマラソン」 秋田県内で9月の第4日曜日に行なわれている。通常、100キロマラソンの参加には2泊3日が必要だが、県内で行われるので1泊2日で参加できる。夜明け前の午前4時半に角館からスタートして鷹巣を目指す。スタート付近では朝早くにもかかわらず多くの人達が応援してくれる。2キロ過ぎあたりからは人影はなくなり、真っ暗になるが、それでもゴールまで、至る所で応援してもらえ、励まされる。コースは、序盤はダラダラとした登りで、35キロあたりから42キロ付近の標高500mを超える大覚野峠までが急坂になっている。登り終えると今度は50キロ手前までが長い下りが続き、ここで足を使ってしまうと残りの50キロは足が動かなくなって、何度も反省させられた。65キロあたりに「北緯40°ゲート」があり、ここを通る時に記念写真を撮っているので、気に入ったら購入できる。制限時間は13時間とコースがきつい割には短い。大会スタッフやボランティアの高齢化から、今年が最後になるかもしれないと言われており、なんとか継続して欲しいと祈っている。
「サロマ湖100キロウルトラマラソン」 6月の第4日曜日に行われている、おそらく日本で最も有名で人気のある大会。北海道湧別町をスタートし、サロマ湖を眺めながら周囲を走り、カーリングでも有名な常呂町がゴールとなっている。50キロ過ぎに、多少の登り下りがあり、制限時間も13時間と100キロマラソンとしては短い方だが、コースは他の大会と比べると比較的平坦で、走りやすかった。ちなみに100キロマラソンの日本記録はこの大会で生まれている。季節的にも暑すぎず、初心者にも走りやすい大会だが交通が不便で、現地に詳しくなければ少し高いがオフィシャルツアーに申し込んで参加した方が安全。私は秋田から羽田空港に飛び、東京からのツアーで参加したので、かなり余計に時間とお金が掛かった。
「柴又100K」 フーテンの寅さんで知られる柴又をスタートし、埼玉を通って、茨城県五霞町を回って柴又に戻ってくる。東京がスタートとゴールであり、交通の便がよく、参加しやすい。コースはほとんどが平坦で制限時間も14時間と長いが、コースの大部分が江戸川沿いの河川敷でサイクリングロードになっており、風景はあまり変わり映えなく単調で、しかも日陰がほとんどないうえに、沿道の応援も少ない。また後半の、疲れて頭が何も考えられなくなり、足も動かなくなっている状態のときに、後ろからすごいスピードの自転車に追い抜かれた時は少し恐怖を感じた。自分が参加した時は6月上旬に行われていてとても暑かった。最近は暑さ対策のためか、5月下旬に開催されるようになったが、それでも今年はかなり暑かったらしい。
「飛騨高山ウルトラマラソン」 6月上旬に岐阜県高山市で行われ、飛騨高山ビッグアリーナをスタートして戻ってくる。制限時間は14時間と長く設定されているが、最大標高差は約800m、累積標高は約2500mとコースはかなりきつい。スタートから数キロは、風情のある古い街並みを走るのだが、道路は結構狭かった。前半は最高地点の40キロあたりまでダラダラと登り、そこから約5キロ下る。60キロ過ぎにある千光寺の前には斜度が12°もある激坂が2キロ近くあり、その坂はほぼ歩いたがそれでもきつかった。寺の門からも長い登り階段が続いており、やっと千光寺についたと思ったら、寺を過ぎても斜度はそれほどではなかったが、約1キロもまだ上りが続いていたときはかなりショックだった。エイドで提供されていた飛騨牛のサイコロステーキが美味しかった。
「四万十川ウルトラマラソン」 10月中旬頃に高知県四万十市で行われる。景色がよく、沈下橋を渡ることもあってか、かなり人気のある大会。参加者は、以前は抽選だったが、昨年は先着順になっていた。スタートから20キロ過ぎの峠までで600mを一気にのぼり、その後は30キロ過ぎまで下りになっていて、コースはそれなりにきつい。下り終えるとその後は90キロ手前まで四万十川を眺めながら川沿いを走る。途中、沈下橋を渡るところでカメラマンが写真を撮っていた。中村高校がゴールになっているが、直前に短いが急な坂があり、この登り下りがとても辛かった。この大会も交通の便が悪く、オフィシャルツアーでないと参加が難しい。
「星の郷八ヶ丘野辺山高原100キロウルトラマラソン」 5月下旬に長野県南牧村で行われている。この大会はまだ走ったことは無いが、ウルトラマラソンの中でも屈指の難コースとして知られており、「東の野辺山、西の村岡」とか、「野辺山を制するものはウルトラを制する」とも言われている。日本一標高の高いJRの駅として知られる南牧村の野辺山駅前をスタートし、小海町、北相木村、南相木村、川上村を回って南牧村に帰ってくる。標高1000mを超える高地で行われており、最高地点は標高1908mで、最大標高差も1000m以上とアップダウンが激しい。制限時間は14時間だが、完走率は例年60%程度と低く、気温の高かった2017年の大会は完走率が49.1%とかなり低くなっていた。完走できる自信はないが、いつか参加してみたいと思っている。
次は当院小児科の久保田弘樹先生にお願いしました。よろしくお願いします。
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