トップ会長挨拶医師会事業計画活動内容医師会報地域包括ケア介護保険について月間行事予定医療を考える集い学校保健関連

<ペンリレー>

発行日2022/04/10
小泉耳鼻咽喉科  小泉 達朗
リストに戻る
オープンカーの愉しさは嵌るとやみつきになるのでクルマ好きなら一生一度は乗ってみるといいですよ
 
 クルマ好き・バイク好きを自認している私ではあるが、実はそれ程多くの車遍歴がある訳でない。また乗ってきた車もそんなマニアックという訳でもなく、まあ、そこそこ珍しい部類かもしれないがクルマそれ自体は至って普通のものばかりだ。言うなれば雑誌からの知識ばかり詰め込んだ頭でっかちのカーマニア気取りだが、それでもクルマは好きである。

 こんな私の車遍歴のスタートはFR・MTの2座オープン、ユーノス・ロードスターだ。
雑誌で限定ヴァージョンのVスペシャルの発売予告の写真を見てひと目惚れした。ブリティッシュグリーンのボディとタンレザーの内装、ナルディのウッドステアリングを備えたその佇まいに撃ち抜かれてしまった。で、雑誌を見た翌日だったか翌々日だったか、とにかく最初の休みに速攻ディーラーに赴き、カタログ入手のつもりが、何故か帰りには発注書にサインをしてたというのは、この手のクルマ好きの購入武勇伝の、まあお約束のパターンではある。
 免許取得以来ほぼ10年近くペーパードライバーだった私は、納車当日、営業マンに見送られ何食わぬ顔でディーラーを出たものの、その後17号線の左端車線で冷や汗をかきながらクラッチミートの練習する羽目になったのはちょっとした黒歴史か。しかし、そのまま勢いで第三京浜-西湘バイパスと走り抜け、気がついたらその夜には箱根の山道にいたのは若気の至りというかなんというか。
 その後はちょっとでも条件が良ければ幌を開け、とにかくオープンで走りまくった。よく言われる2座オープンのネガティブポイント、同乗者が一人しか乗れないだの荷物が積めないだの暴風に曝されるだのは、単車乗りの自分にとっては全く気にならなかった。
 ロックを外し片手で幌を後ろに追いやれば交差点の信号待ちの間でも簡単に屋根は開けられた。そうして頭上一杯の解放感と陽差しと風を感じて走る気分といったら!
これで初夏の高原なんぞドライブしたらもうその爽快感たるや、隣にどんな高級車が並んでも絶対こっちの方が気持ちいいぞ!と無意味な優越感に浸ったりもした。
 オープンカーのイメージとしては一般的には夏であるが、実は真夏のオープンドライブは結構しんどい、というかまかり間違うと地獄だったりする。容赦なく照り付ける日差しを遮るものは無く、風はアスファルトの照り返しでドライヤー並みの熱風と化し涼むどころではない。むしろ(雪の降らない地域なら)冬こそオープンドライブのシーズンと言いたい。お気に入りのレザージャケットを纏いサイドウインドーを立てれば、たとえ高速でも快適にドライブできるし、冬晴れの日は夕立の心配も無い。とは言え真冬の2月に名古屋から東京まで東名をオープンで走って帰ってきた時には流石に周囲に呆れられたが。

 それからは結婚を機にロードスターから4座オープンに乗り換え、更にその後は家族が増えてワゴンとなり、現在はジュリエッタに落ち着いているがとても気に入っている。ジュリエッタは後継車の無いまま生産終了となり、同クラスの次期車種はEVとなるという。欧州のみならず全世界的にも今後ガソリン車は消滅に向かう流れの中で、このジュリエッタは最後のアルファの小型エンジン車となるかもしれない。と、思いが至ったら私の中の天邪鬼が暴れだし、もうこのクルマは手放さないぞ、こいつの命尽きるまで心中だと囁きはじめた。
 だがしかし、それとは別にオープンカーへの憧れは未だに消すことができないでいる。
 以前は初期型のロードスターの程度の良い中古を買って徹底的にいじりまくる、なんて真剣に考えたりもした。アフターパーツもカスタムショップも山ほどあるし。しかし今となっては程度の良い車体は逆にプレミアが付く位だし、何より流石に30年物となると維持管理が大変そうだ。で、鉄板は現行のロードスターという事になるか。
 その変化球で兄弟車のアバルト124も捨て難い。両車とも試乗したがロードスターに輪をかけてのアイポイントの低さと身体をがっちりと包み込むバケットシート、そして程よく唸るエキゾーストノートが心地良かった。
 Z4はもはやラグジュアリーに振りすぎていて「小さい車体を小気味よく振り回す」という信条からは外れてしまうので除外。なれば子供も独立した今、いっそ実用性なぞ全く皆無なケーターハム・スーパー7まで振り切るか。
 フィアット500CCツインエアなら、“小さくて可愛いオープン”に更に2気筒エンジンのフィーリングも付いてくる。こんなので休日の良く晴れた昼下がり、田舎道をトコトコ走ったらさぞかし気持ちいいだろうなあ。
 ACコブラは昔からの憧れだが、オリジナルは勿論、レプリカだっておいそれとは手が届かない。のであればいっそお茶目にベビー・コブラなんて隠し玉もある。(日本のビルダーによるカスタムカー。ベースはスズキ・カプチーノ!)
 まあこうやってあれやこれや妄想を繰り広げている時間がクルマ好きの愉悦の真骨頂なのかも知れないが。

 昨今、若者のクルマ離れが言われるようになり久しく、どころか今はカーシェアリングだのサブスクのレンタルだの、もはや車を所有するという行為自体が前時代的とされつつある感すらある。「愛車」という言葉もいずれは消えてしまうのだろうか。寂しいものである。
 ただ私が免許返納する頃までならガソリン車も何とか存続していると思われるし(単なる希望的観測?)、今暫くはこうして趣味生活を続けていきたいと願う今日この頃である。

 次回のバトンは御近所であり飲み友達でありバイク仲間でもある熊谷肇先生にお渡ししたいと思います。先生の趣味人としての守備範囲の広さと造詣の深さにはいつも舌を巻く思いですが、今回も楽しいお話を書いて戴けると期待しています。
 
 ペンリレー <オープンカーの愉しさは嵌るとやみつきになるのでクルマ好きなら一生一度は乗ってみるといいですよ> から