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<ペンリレー>

発行日2021/01/10
立木医院  立木 裕
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自転車生活
 
 秋田赤十字病院の石井先生から、ペンリレーのバトンを受け取った。いや、正確には受け取ってしまった。僕たちは秋田大学医学部の15期生である。今年は卒後30周年記念の同期会が予定されていたが、新型コロナウイルス騒動のために中止となってしまった。この歳になると、各病院には同期生の科長・部長・院長・教授・准教授・副学長までおり、患者さんの相談をするには大変助かっている。しかし、逆に電話がかかってくると「患者さんが救急搬送されたか?」と心配になる。石井先生からの電話のタイミングはそんな時間帯だった。「ペンリレーお願いできる?」「いいよー」で決まってしまった。あっ、受け取ってしまった、である。さて、困った。僕の持ちネタには学術的なものや格調高いものはない。①自転車②わんこ(フレンチブルドック)③ゴルフ④お酒の4つしか無いのである。③と④は失敗談の方が多くすぐに消去、①または②が選択肢として残る。以前、H先輩から自転車もので原稿書いてみたらと勧められていたのを思い出した。そう、連載できるのでネタが尽きないのだ。
 飲酒と不摂生で体重がみるみる増加し、筋肉よりも脂肪が多くなってしまったため、減量のために始めた自転車だがここまでハマってしまうとは自分でも驚いている。一人でも、時間に関係なく(早朝でも午後休診時でも良いのだが、さすがに夜間と雨や雪は避けている)、効率的にカロリーを消費できるスポーツは他に無い。そして、レースからグルメライドやポタリング、自転車のパーツを変えたり色々と工夫したりと楽しみも多い。ひとそれぞれの自転車ライフがあるのだが、僕はやはりレースが一番好きである。表彰台には程遠いのだが。
 今年は、この状況下で全てのレースが中止となった。僕の5大レース:?蔵王ヒルクライム?夏油ヒルクライム?岩木山ヒルクライム?鳥海ブルーラインヒルクライム?矢島ヒルクライム:全てがキャンセルとなりモチベーションは下がりっぱなしである。それでも、いつも通りにルーティントレーニングをこなしていたのだが、ある日状況が変わった。そう、ライバルの出現である(弱虫ペダルか?)。同期のY先生がカーボンロードバイク購入で参戦してきたのである。もともとブリジストンアンカーに乗ったりクロスバイクに乗ったりしていたのだが、目覚めてしまったようなのだ。サイクルコンピュータでデータをとりSTRAVA(注:サイクリング、ランニングなどのフィットネスネットワークサービス)にアップしているので分かるのだが、走る度にレベルアップしている。一緒にライドした時にフォームやペダリングについてアドバイスしたのだが、その後さらに速くなっていた。負けられない戦いがここにある、である。
 二人の共通の練習拠点は太平山。自転車乗りにこんなに良い環境はない。自宅から出発すると、添川の信号の先には信号がないのだから驚きである。藤倉水源を抜けて登り道に入り、最後はマンタラメの前の坂を登った先のザ・ブーンの看板がゴールである。マンタラメの坂に入る曲がり角からゴールまで、距離2.09km、標高差91m、平均勾配4.3%のセグメント(簡単に説明すると、タイム測定区間)で、Y先生と競争しているのだがオジサン達には苦しいのなんのって「なんでこんなことしてんだろ?」ってな具合である。しかし、達成感はハンパなく、1秒でも速い記録が出ると祝杯ものである。いつもはこのセグメントを1回から3回走っていたのだが、Y先生が参戦してからは一度のライドで5回から7回も走るようになった。モチベーションが上がる一方である。マンタラメの坂を5回も走れば一度のライドで1000キロカロリーは消費できるので一石二鳥なのだ。ちなみに3ヶ月間で同一セグメントを一番多く走った人にローカルレジェンドという称号が与えられるのだが、10月から12月(シーズンオフに近いので活動量は低下する時期である)までの90日間で58回のライドをこなしたのでローカルレジェンドを獲得したのだが、Y先生との差はたったの2回であった。
 もう12月である。雪が降ると外での自転車は終了となる(ロード以外では可能であるが)。しかし、雪が降ったら室内でのローラー台+ZWIFT(バーチャルの自転車ライド)が始まる。オジサン達の戦いは熱く続くのである。(続く)
 次は同期でいつも緊急でお世話になっている市立秋田総合病院循環器内科の藤原敏弥先生にお願いします。
 
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