トップ会長挨拶医師会事業計画活動内容医師会報地域包括ケア介護保険について月間行事予定医療を考える集い学校保健関連

<ペンリレー>

発行日2013/06/10
愛川整形外科クリニック  愛川 肇
リストに戻る
ディスカスの繁殖 ―最初の飼育から30年―
 
    
 ディスカスという魚、熱帯魚を飼われている方ならご存知と思いますが、アマゾン川原産で、30年前はその飼育も難しいものでした。新しい水を好み、煩雑な水かえが必要で、少数で飼育すると互いにケンカをして弱ってしまうものでした。飼育の難しさや忙しさもあり飼育を中断していました。数年まえから熱帯魚の飼育を再開し、何種類かの魚を飼ってみましたが、やっぱりディスカスを飼いたいと思い、情報収集をすると以前よりも国内で繁殖したものが増えて、日本の水に慣れて飼いやすくなっているとのことでした。ネット通販でとりあえず始めるには値段も手頃な生体が売っているので、まず手始めに約5cmの大きさのものを10匹購入しました。1匹ずつビニール袋に梱包され発泡スチロールの箱に入って送られてきました。通販で元気な状態で着くのか不安もありましたが、十分な水合わせをして、用意していた水槽に移すと元気そうです。しかしよく考えると海外からくる生きた魚はもっと時間をかけてくるのですから。

 その後、水質に注意して十分な餌を与えて2年ぐらいたち13cmくらいになったころペアリングするようになりワンペアができ、水槽の隅に産卵しだしました。このディスカスの産卵行動は興味深いものがあり、雌雄で卵の世話をし、孵化後も稚魚を守ります。ここで特徴的なことは、親はディスカスのミルクと呼ばれる粘液様のものを体表から分泌して、稚魚に食べさせるのです。産卵から孵化まで約2日、孵化から親の体表に着くまで約2日かかりますが、この時、環境が合わなければ親が食べてしまいますが、静かに見守るしかありません。その後は適切な餌やり、水質管理ですくすく成長します。

 産卵の時は、水槽をペアだけにしますが、産卵を誘発するには、少しコツがあるようです。飼育している水は魚を飼っているとpHが下がってくるのでここで大量に水かえをして中性近くに戻してやると産卵行動を誘発しやすいようです。はっきりとしたことはわかりませんが、この魚の原種は、アマゾン川です。小さな魚たちは雨季になって増水し、森の奥まで水が入り、このような場所は大型魚がはいってきづらいのでこのような時に産卵するようです。アマゾン川の水は酸性ですから、この増水がpHの低下をおこしていると考えられ、この状況をイメージするわけです。これが意外とうまくいって今まで3回繁殖に成功しています。成長の過程である程度は死んでいきますが、それでも結構生き残ります。欲しいという人には、譲ったりしましたが、今も30匹位は元気に育っています。
 手間と観察が必要ですが、産卵から子育て成長を見るのは楽しいものです。今後は、大型魚の繁殖をしてみたいと思っています。
 
 ペンリレー <ディスカスの繁殖 ―最初の飼育から30年―> から