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<ペンリレー>

発行日2004/07/21
ながぬま内科  長沼晶子
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女性外来を担当して
 
 ある日突然、鹿嶋雄治先生より電話をいただいた。ペンリレーがつながらないから、女性外来のことでも書いて!ということだった。日頃大変お世話になっており、断れない話だったので、女性外来の実態を書くことにした。
 今年2月より秋田市で初めての女性外来が、市立秋田総合病院でスタートした。その担当医師の一人としてなぜか自分が頼まれてしまった。女性医師による女性のための専用外来であるが、完全予約制で一人30分かけて患者さんのお話をじっくり聞くカウンセリング中心の診療である。原則として1回限りのカウンセリングである。そのほとんどは、健康のための方向付けをしてあげるだけでいいと言われていたが、実際はじめてみると、継続して通院することや、検査・治療も含めてしてもらえると期待して受診された患者さんもいらっしゃり、その後のfollowに悩んでしまうケースもしばしばである。結局、患者さんの意志を尊重し、希望するところへ紹介状を書くことになるが、中にはそのまま当院の方へ通院されるケースもある。
 市立秋田総合病院で女性外来をはじめるにあたり、秋田市広報、医師会提供のテレビ番組、ラジオ、週刊雑誌、新聞などで宣伝されたため、「市立秋田総合病院は遠いので、こちらに来ました。」と当院を直接受診される患者さんも増え(えっと驚きながら対応)、最近の診療は脱線を繰り返しながら、待ち過ぎた患者さんの苦情を聞きながら(しんど一)、段々収拾がつかなくなってきたなという感じがしている。女性外来がらみの患者さんと一般外来の患者さんに一線を引かないと双方にご迷惑のかかることと思っている。やはり女性外来は設置された病院に勤務している女性医師により、その後に生じた検査・治療を施行しえて、患者さんにメリットがあると思っている。
 実際、東邦大学医学部附属大橋病院では、昨年9月より女性専門外来がスタートし、心の診療科、産婦人科、泌尿器科、外科および皮膚科の5つの科が連携をとりながら、受付から診療・検査・治療にいたるまですべて女性のスタッフにより対応がなされている。じっくり患者さんのぺ一スで、心・体・社会的な面での訴えを聞きながら、必要と思われる検査があれば、女性の医師、女性の検査技師が担当するということで、理想に近い形で女性外来がすでに始まっている。秋田ではまだまだこのような形での女性外来は望めない。女性外来を成就させるためには、総合病院の中に、経験豊富な女性医師が種々の科に存在し、その周りにその診療を支える女性のスタッフが存在することが不可欠であると考えられる。医学部卒業の段階では3割から4割近く女性が占めているにもかかわらず、実際働く現場では女性医師がかなり少ない。常勤医師として続けにくい日本の社会が影を落としていると私は考えている。私たちに要求を出す前に、女性医師が働くことをやめずに済む社会環境も整えてほしいと思う。今、窓口ができたばかりの女性外来がどう発展していくのか、自分もかかわりながら、今後じっくり見守って行きたいと思っている。
 次回は私の大好きな湊裕子先生にお願いしました。

 
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