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医療を考える集い
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第40回医療を考えるつどい

漢方から健康へのアプローチ
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日 時 平成30年1月27日(土)午後1時30分~午後4時40分
会 場 秋田ビューホテル・4階
総合司会  広報委員会委員  工 藤 香 里  
あいさつ  秋田市医師会長  松 岡 一 志  
祝  辞  秋田市長     穂 積   志 様 (代理) 
      秋田県医師会長  小 玉 弘 之 様 (代理)

-基調講演1-
「高齢者と漢方」   医療法人 小川内科医院 院長     島     仁 氏  
 
-基調講演2-
「冷えと漢方」    医療法人祐基会 帯山中央病院 理事長 渡 邉 賀 子 氏


-パネルディスカッション-    

司会  広報委員会担当理事 田 中 秀 則
    広報委員会委員   市 原 利 晃



パネリスト
 「生薬と漢方薬」
  今薬局 薬剤師            戸 松 大 樹 氏
  医療法人 小川内科医院 院長     島     仁 氏
  医療法人祐基会 帯山中央病院 理事長 渡 邉 賀 子 氏




アンケート結果
総合司会(秋田市医師会広報委員会委員・工藤 香里)
 本日はお足元の悪い中ご来場くださいましてありがとうございます。司会を担当いたします秋田市医師会広報委員会委員の工藤と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは第40回医療を考えるつどいを開会させていただきます。
秋田市医師会長(松岡一志)
 皆さん、こんにちは。秋田市医師会長の松岡です。
 本日はご多用中のところ、また大変にお足元の悪いところ、土曜日の午後の貴重なお時間を割いてご参加いただきましてありがとうございました。
 この会は秋田市医師会市民公開講座となっており、今回で40回を迎えます。年に1回、その時々のテーマを取り上げて市民の皆様とともに考える会であります。秋田市および秋田県医師会からも多大なご支援をいただいております。本日は秋田市から伊藤保健所長、秋田県医師会からは坂本副会長にご出席いただいておりますので、今後ともご支援のほどよろしくお願いいたします。
 この会では、一昨年は「長生きのコツとエンディングノート」を、昨年は「秋田の子どもを考える」をテーマに開催させていただきました。今回は「漢方から健康へのアプローチ」ということで、漢方薬を取り上げさせていただきました。漢方薬にお世話になっている方はこの会場の中にも多くいらっしゃるのではないでしょうか。私はそれほど漢方薬を処方する方ではありませんが、それでも相当数の患者さんに処方しております。第1部基調講演では小川内科医院の島仁先生から「高齢者と漢方」をご講演いただきます。次いで第2部基調講演として、帯山中央病院理事長の渡邉賀子先生から「冷えと漢方」についてご講演をいただきます。その後、「生薬と漢方薬」というタイトルでパネルディスカッションが行われる予定です。
 ここで少し医師会のことを話させていただきますと、現在地域包括ケアシステムの構築という課題が我々には課されております。これは昭和47年から49年生まれの、いわゆる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年をめどに、重度な要介護状態から住み慣れた地域で暮らしやすいくらしを人生の最後まで続けることができる医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供されるシステムです。これに関連して、地域医療構想というものも進められております。これにより、入院病床は減少し、在宅医療のウェイトが増していくことが想定されています。秋田県は高齢化最先端地域ですので、日本全体を先取りしてモデルとなれるようなシステムを構築していきたいと考えているところです。
 本日は少し長時間の会となりますが、どうぞ最後までご参加いただけますようお願い申し上げます。それではよろしくお願いいたします。
穂 積   志 秋田市長(代読:伊藤千鶴 保健所長)
 秋田市保健所長の伊藤でございます。
 本来であれば、穂積市長が出席し、皆様にあいさつを申し上げるところでありますが、他の公務のため出席できませんので、市長から預かってまいりました祝辞を代読いたします。
 本日、多くの皆様のご参会のもと、「第40回医療を考えるつどい」がこのように盛大に開催されますことを、心からお喜び申し上げます。
 また、秋田市医師会の皆様をはじめ本日お集まりの皆様におかれましては、日ごろから市政の推進に多大なるご支援とご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。
 さて、少子高齢化が大きな社会不安となりつつある現代において、わが国では、超高齢社会にあっても、国民一人ひとりが健やかに心豊かな生活を送ることができるよう、地域が一丸となって「健康寿命の延伸」に取り組んでいくことが求められております。
 この健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことでありますが、要介護状態に陥ることのないよう、生活習慣病の予防やフレイルの進行を抑制していくことが重要であり、本市においては、「第2次健康あきた市21」に基づき、健康づくりに関する様々な施策を市民の皆様とともに進めているところであります。
 こうした意味からも、秋田市医師会が様々なテーマで開催する、この「医療を考えるつどい」は、今年で40回という長きにわたり、参加者が自らの健康について考える貴重な機会となっており、誠に意義深く、市民の健康寿命の延伸に大きく寄与するものであります。引き続き、市民の健康意識向上のため、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 結びに、秋田市医師会のますますのご発展と本日お集まりの皆様のご健勝を祈念し、祝辞といたします。
小 玉 弘 之 県医師会長(代読:坂本哲也 県医師会副会長)
 第40回医療を考えるつどいの開催に当たり一言ご挨拶を申し上げると共に若干の所感を述べたいと思います。
 先ずもって、本日の「つどい」がこのように盛大に開催されますこと心からお喜び申し上げます。また、開催にご尽力を頂きました秋田市医師会松岡会長を始めとする役職員各位には、衷心より感謝を申し上げると共に敬意を表します。
 さて、先の大戦後、日本国民は世界に類を見ない程のスピードで復興を成し遂げ、所謂高度成長期を経て、今現在は、成熟社会の構築が求められております。高度成長期を身命を賭して支えて頂いた団塊の世代の全ての皆さんが75歳以上になり、医療・介護の需要が増大する2025年に向け、秋田県においても、行政と地区医師会が車の両輪となり種々の施策を協議し推し進めている処であります。
 一昨年、地域医療構想が策定され、来年度策定される医療計画、介護保険事業計画と共に各圏域で議論されておりますが、医療関係者、介護関係者のみならず、全ての住民の皆さんの思いが反映されるものになることが、将来の地域・地域における医療・介護のあるべき形に繋がると確信しております。特に「地域包括ケアシステム」、「在宅医療」の定着・推進については、地域住民の方々の了解、理解が絶対的に必要であり、そのためにも地区医師会を始めとする医療・介護関係団体が連携し、率先して住民の皆様に常に寄り添い、システムの実現に邁進していくことが肝要と考えております。「地域包括ケアシステム」の主役は、医師ではなく、住民の皆様であり、医療従事者、介護従事者はあくまで住民を支える存在であることが理想と考えております。そしてまた、「地域包括ケアシステム」は、日本の高度成長期の負の遺産である共助精神の欠落した「まち」の崩壊を立て直し、成熟社会に見合った新たな「まちづくり」であり、そして、子育て支援は無論、国が求めている障がい者の共生社会の実現と相通ずるものであり、高齢者鑿ならず全世代が参画することが強力な推進力になると考えております。
 本日のつどいのテーマは「漢方から健康へのアプローチ」であります。医療の望ましい形は、医療を提供する側と受ける側の相互信頼を基にして、患者本位に診療を進めることと思います。医薬品の進歩は、目覚ましいものがありますが、西洋薬の苦手な患者さんがいることも事実であり、漢方の活躍の場もあると思われます。医師は、常に新しい知識を身に着けるべく努力が求められております。日本医師会においても、患者さんがかかりつけ医を持って頂くように国に働き掛け、国もその方向性でかかりつけ医の普及を推進している処であります。今後も、秋田県医師会は、日本医師会のかかりつけ医に関わる生涯教育システムと連動しながら医療の質の維持・向上を進めて参る所存であります。是非、本日の講演、シンポジウムを参考にし、かかりつけ医と相談することで患者さん自身の治療の選択肢が広がることを期待したいと思います。
 結びに、本日ご講演を頂きます、島仁先生、渡邉賀子先生、また、パネリストをお務め頂く戸松大樹先生に心から感謝を申し上げると共に秋田市の住民の皆様の今後益々のご健勝をご祈念申し上げ挨拶と致します。
総合司会 それでは第1部の基調講演を始めたいと思います。基調講演は島仁先生、座長は三浦秋田市医師会副会長です。では、島先生よろしくお願いいたします。
- 基 調 講 演 -
「高齢者と漢方」
総合司会 ありがとうございました。引き続き第2部の基調講演を始めたいと思います。講師は渡邉賀子先生、座長は松岡秋田市医師会長です。どうぞよろしくお願いいたします。
- 基 調 講 演 -
「冷えと漢方」
パネルディスカッション・質疑応答
司会  秋田市医師会広報委員会担当理事 田中秀則
    秋田市医師会広報委員会委員    市原利晃
生薬と漢方
戸 松 大 樹 氏(今薬局 薬剤師)
[背景と目的]
近年、私たちは生活の中でもの忘れに対する健康食品やのど飴のCMなど様々な天然植物を使用する商品をテレビやインターネットなどから目にする機会も多く、一般消費者も手に取りやすい身近な存在となってきている。しかしながら、使われている天然植物の多くは漢方薬の中で生薬として扱われているものも多く存在しており、その使用にあたり注意すべきことがある。また、天然であるために供給される原料としての問題も抱えているが、今回は市民公開講座ということもあり問題点をお話するのではなく、漢方が多くの病を癒すために経た歴史や工夫してきた作り方、県内で努力して栽培されている生薬の現状などを発表する。
参加される市民の方々により身近により魅力的に感じてもらい、自身の健康との向き合い方の一助として、また貴重な天然資源を使用して作られていることの理解が深まれば幸いである。

[内容]
①漢方の歴史 
②民間薬と漢方薬の違い 
③県内での栽培状況
④漢方薬の煎じ方、作り方
市原:戸松先生、ありがとうございました。それでは、これからパネルディスカッションを始めたいと思います。
田中:秋田市医師会の田中です。今日は漢方の専門の先生3名にご講演いただきましたが、皆様にも大変ためになっているかと思います。これからパネルディスカッションを行い、より漢方の考え方を深めていきたいと思っております。よろしくお願いします。今日は女性の方が多い印象です。今日は渡邉先生に冷えについてお話しいただきましたが、冷えに悩んでいる方はこの会場にも多いかと思います。先生、冷えに対してやってはいけないことはありますか。
渡邉:基本的には絶対だめなものはありません、と私は申し上げております。冷え症の方には温かい飲食物がよいとお話ししますが、例えば仕事帰りに飲む1杯の冷たいビール。確かに冷たいですが、その1杯で「ふー」と力が抜けて仕事モードからリラックスモードになるなら良いかと。ですから、絶対に食べてはだめ、飲んではだめというものはないのですが、出来れば氷入りの飲み物は避けて頂きたい。もう1つ、「私は健康に良いと言われているものは全てやっているつもりですが、冷えるんです」とおっしゃる方には、全部やることをやめましょう、とお話ししています。なぜなら冷え症には完璧主義の方が多いと感じているからです。これもそれもあれも、と張り詰めて毎日がんばりすぎることで交感神経が優位になり、手足の血管が縮まって冷えてしまいます。もう少し力を抜いて、やりたいことや心地よいことを楽しみながらやりましょうと申し上げております。
田中:私のクリニックで毎日黒酢を飲んでいるという方がいるのですが、この黒酢はどうなのでしょうか。
渡邉:まず私たちは、おいしく食事をすることで食べ物から栄養を摂るのが自然な形だと思います。サプリメントだけでお腹いっぱいになるという方もいらっしゃいますが、健康に良いからといって特定の食品やサプリメントを大量に摂ることに疑問を持っています。
田中:皆様、参考にしていただければと思います。市原先生からご質問はありませんか。
市原:先ほど食事のお話がありましたが、お酒にもいろいろな種類があります。お酒の種類によって差はあるものでしょうか。
渡邉: お酒には、緊張を緩める効果と血流をよくする効果があります。たとえば薬酒は、このお酒の効果に生薬の作用を加えた相乗効果を期待したものです。そういった意味でお酒は適量であればどの種類のお酒でも良いかと思います。ただし、冷たいビールなどで胃腸の中から体を冷やすことは冷え症に繋がります。冷たいものを沢山飲むと内臓を守ろうとして脂肪を蓄えるので、ビールをがぶ飲みしている人にお腹が出ている人が多いのではないか、という説があるくらいです。ですから、冷たいものははじめの1杯くらいにして、この季節だと熱燗、食事に合わせてワインなど、冷たすぎないお酒を適量、飲み過ぎなければどの種類でもよいと思います。
市原:飲み過ぎなければ、ですね(笑)。食事のお話がいろいろとありましたが、戸松先生、食事と生薬、非常に近いものがあると思います。それについてお話をお願いいたします。
戸松:会場の皆様にも先ほどお話ししたとおり、やはり「食べる」ことから始まっています。皆様も本当に身近なものを生薬として口にしていると思います。生姜は「しょうきょう」とも呼ばれています。漢方薬は乾燥したものを煮詰めていくとお伝えしましたが、乾燥させること自体が手間ですよね。昔は生の生姜をすっていたのです。例えばつわりのときに生姜をすってお茶として飲んだり、薬味として入れてもらっても体も温まります。先生方のお話にもありましたが、何事もバランスが大事です。生薬は普段身近にあるものだと思っていただければと思います。
市原:ありがとうございました。我々は西洋医学で勉強してきたので、漢方はちょっと難しく、馴染みの薄い部分もあります。島先生は西洋の薬と漢方の薬を上手に使われておられますが、それぞれのよいところをどのように引き出しているのか、コツを教えてください。
:患者さんによって、漢方薬だけという方もいらっしゃいますし、ある程度西洋医学的な検査をして、基礎的な疾患がないかを確認して、あまり大きな病気がないようであれば、患者さんの希望に沿った形で漢方薬と西洋薬を併せ、薬の数をなるべく多く飲まなくてもいいように漢方薬を使って服薬数を減らすことを考えるようにしています。糖尿病や高血圧で、漢方だけでは症状が改善されにくい場合には、西洋薬をメインに使います。糖尿病性の神経障害など、なかなか西洋薬では治らない場合には漢方薬を併用するようにしています。
市原:先ほどのがんの方のような場合に疼痛コントロールで西洋薬だけではコントロールがつかない場合、漢方薬を上手く使える場合があるということですね。私は煎じ薬を使ったことはないのですが、島先生は使用されたことはありますか。
:煎じ薬はとてもよいものですが、働いている方が外にいるときに煎じ薬の漢方薬を飲むのはなかなか難しいので、自宅でゆっくりできる方に関しては煎じ薬も出すようにしています。
市原:戸松先生、エキス剤と生薬では効果に差があったりもするのでしょうか。
戸松:先生方のお話にもありましたが、漢方薬のアルミパック1袋が必ずしも1回量とは限りません。多く飲んでもらいたいものもあれば半分量で間に合う方もいらっしゃいます。そこは先生方の見立てで違いが出てくると思います。ただ、煎じる漢方処方はオーダーメイドです。例えば大黄のようなおなかを刺激して便を出すようなものは決まった量が漢方エキスには入っていますが、煎じ薬の場合はその人に合わせて加減することができます。よく私は例えとして、煎じ薬は「豆から挽いたコーヒー」だと思って下さいと話します。アルミパックの錠剤やエキスのものはインスタントです。それをお湯に溶かして飲めば確かに液体となって漢方のスープと同じようになりますが、煮出して飲む利点もあれば簡易的に飲める利点もあります。生薬の構成を変えることができる上では煎じ薬のほうがよいかもしれません。あとは体が効果を出してくれると思いますので、飲んでみないと分からないところがあると思います。
市原:オーダーメイドとしては、煎じ薬の方がよい場合もあるということですね。生薬と言っても全て生ではないのですね。乾燥しているものもあるし、動物もあるのですね。
戸松:今は殆どが乾燥品です。取り扱っているものは薬と同じ扱いですので、当然残留農薬や放射性物質が入っていないという医薬品の検査を受けたものが生薬です。それを医療用、生薬として扱っています。
田中:会場の皆様も今日の講演を聞いて飲んでみたいと思った漢方薬があったのではないかと思います。先ほど島先生から「一服飲んでみれば(その漢方薬が)合うかどうかが分かる」とお話がありましたが、実際は1週間などある程度の期間処方されますが、本当に一服で分かるものなのでしょうか。
:例えば、先ほど渡邉先生から女性の3大処方と呼ばれる当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸の名前が挙がりましたが、その3つの漢方薬を飲み比べて自分に一番口に合いそうな漢方薬を選ぶことも一つの方法です。
田中:渡邉先生、先ほど島先生のお話にもありましたが、秋田県の問題点の一つは自殺率が高いことです。天気が荒れていて吹雪いているとき等、気持ちが落ち込んでいるに飲めるおすすめの漢方はありますか。
渡邉:冬は日暮れが早く、寒いこともあり、気持ちが落ち込みやすくなりますが、雪国は尚更ですよね。まずは睡眠がしっかり取れているかどうかが基本です。しっかり眠ることでうつ状態を防ぐことにも繋がってきます。もし眠れていないようであれば、抑肝散、帰脾湯、黄連解毒湯のような睡眠を助ける漢方薬を出します。島先生も話されていましたが、私たちは漢方と西洋学のよいところを活用することができるので、漢方で上手く眠れない場合はその時期だけ睡眠薬を使うこともあります。トラブルを抱えたパソコンをシャットダウンして再起動するとうまく行くことがあるように、一時的に睡眠薬などに頼ってでも睡眠をとることが必要な場合もあります。熟睡することで精神的に楽になることもありますから、主治医に相談してください。逆に、抗うつ剤を飲んでいたけれど妊娠したいのでこれを減らしたいといった場合、半夏厚朴湯、柴胡加竜骨牡蛎湯などを使いながら抗うつ剤を少しずつ減らしていくこともあります。また、胃腸が弱く落ち込みがちな高齢女性で、最近何となく食べる気がしない、疲れやすいという方に香蘇散という漢方薬をお出しすることも多いです。風邪などによく使う漢方薬ですが、紫蘇が入っているこの薬で食欲が出て、元気になったという症例もありました。香りの成分はエキス剤に加工する際に飛んでしまうことが多く、どちらかというと生薬の方が得意なのですが、エキス剤でもしっかり効いてくれるものもあります。
田中:ここで会場の皆様から質問がありましたら受け付けたいと思います。
参加者A:漢方は何歳くらいから飲むことができるのでしょうか。
:年齢は関係ありません。子どもの場合は量を少なくして飲んでいただくとよいです。最初に口にした漢方がまずいとお子さんはそれからずっと飲んでくれなくなります。なので、最初に飲ませるコツとして、シロップを加えるなど味を変えて飲みやすくすると良いと思います。
渡邉:私が以前勤務していた北里研究所では、アトピー性皮膚炎の赤ちゃんに対してお母さんが漢方薬を飲み、薬の成分を含む母乳を赤ちゃんに飲ませることにより、効果がありました。ですから、何歳からという制限はないと思います。自分で飲める年齢になっている場合は、黒砂糖に混ぜて少量のお湯を入れて口の中に入れてあげる、またはパンに塗るペースト状のもの、ピーナツバターやチョコレートペーストなどに混ぜてあげるという工夫も出来ると思います。
戸松:私の子どもですが、1ヵ月になる前から漢方薬を飲ませていました。アトピーが酷かったためです。そのときは小児科の先生と相談して行いました。お風呂上がりに煎じて麦芽の飴が入っている漢方薬を飲ませていました。処方箋で出された漢方をいやだと言うお子さんがいます。その場合は「医師に確認後親御さんが一回飲んでおいしいと言ってみてください」と話しています。お子さんに無理矢理飲ませると反発します。親がおいしいと飲んでいる姿を見れば子どもも興味を持ちます。ぜひ参考にしていただければと思います。
参加者B:漢方薬は中国が本場だと思いますが、中国は環境汚染がひどいと聞いています。中国からの漢方薬は安全なものが届いているのでしょうか。
戸松:先ほども話しましたが、生薬はほぼ輸入のものです。ただ、食品よりももっと厳しい基準の下、薬としての検査をして皆さまのお手元に届いています。そこは国がしっかりと保証してくれていると思います。日本のメーカーが現地法人をたてて栽培をしているのが現状です。土壌も検査をして安全とわかってから人工栽培を始めています。口に入るものなので心配もあると思いますが、そこは国がしっかり検査項目を見て輸入していると思っていただければ、安心して飲んでいただけると思います。
田中:本日は三名の先生方からご講演いただきました。皆さん、今日のお話を聞いて自分の生活、体に合った漢方を見つけていただいて、ぜひかかりつけの先生に相談して処方していただければと思います。また、本日は 三名の手話通訳士の方に通訳をしていただきました。ありがとうございました。それではこれでパネルディスカッションを終了いたします。ありがとうございました。
総合司会:これをもちまして第40回医療を考えるつどいを閉会いたします。会場の皆様、最後までご静聴いただきましてどうもありがとうございました。
参加者アンケート 感想・意見・テーマなどの回答結果
ご自由に感想、ご意見をお聞かせ下さい。また、今後取り上げてほしいテーマがありましたら、お書き下さい。


1. 漢方の複雑で難しいというイメージが少し変わりました。男性なので冷え症で悩むことはありませんが、冷えやストレス、緊張という日常的な不調に効果的であると知り飲んでみたいと思いました。健康でいるために役立つ漢方についてもっと知りたいので、今後のテーマにもまた漢方を取り上げて頂きたいです。(29歳以下・男性)

2. 渡邉先生のお話は、とても楽しく理解しやすくとても参考になりました。最近ストレスでイライラするので抑肝散を飲んでみたいと思います。かかりつけの先生に相談してみます。(40歳代・男性)

3. 島先生のお話、漢方の基本と、症例別の漢方使用例、とてもわかりやすくためになりました。会場からの質問内容からも、西洋医学に疑問があり、漢方の併用を望んでいる方が多いのではないかと感じました。関心の高い良いテーマを取り上げてくださったと思いました。
渡邉先生のお話、とても引き込まれました。聞き心地の良いお声、冷え症の私にとって心に響く内容…今日は来てよかったと思いました。
戸松薬剤師さんのお話、歴史がとてもわかりやすく生薬もなじみのあるものばかり、何か煎じてみたくなりました。
パネルディスカッションも進行スムーズで生活のヒントになるパネリストの先生方の貴重なお話、楽しく拝聴しました。ありがとうございました。(40歳代・女性)

4. 漢方薬はとても良いと思います。是非服用したいと思いました。漢方薬をもっと処方していただける医師が増えると良いと思います。(50歳代・男性)

5. 「生薬と漢方薬」どういうもので、作り方など、由来がおもしろかった。(50歳代・女性)

6. 生薬と漢方薬の話が興味深かった。(50歳代・女性)

7. 大変勉強になり、2時間運転して駆けつけた甲斐がありました。ユーモアを交えて飽きることなくまだまだ聞きたいくらいでした。日頃からドクダミ茶など飲んでいて昔から西洋医学と東洋漢方は調和すればよいのにと思っておりました。冷えの漢方の質問にもお答えいただきありがとうございました。友人にも伝えます。次回も楽しみにしています!!(50歳代・女性)

8. 今後取り上げて欲しいテーマ:くすりと健康寿命の関係(50歳代・女性)

9. 先日テレビで「葛根湯」に筋肉痛という症状にも効くと言っていました。それからバレーボール大会があり、練習をしたのですが、3日後には筋肉痛になると思い、「葛根湯」を服用したら、私は服用のおかげで筋肉痛はなかったのですが、主人は筋肉痛だと言っていました。漢方をそれほど信用していなかったのですが、ちょっと考えが変わりました。ありがとうございました。楽しかったです。(50歳代・女性)

10. 天候の影響をあらゆる面で受けないように、開催時期を検討してみてはいかがでしょうか。(50歳代・女性)

11. 今後取り上げて欲しいテーマ:ガン罹患率。健康寿命の延長が秋田県下における最近の課題であるならば、「検診(健診)の啓蒙、在宅医療の現状、介護における具体的事例等々」身近に抱える問題は少なくないと存じます。市民公開なさる講座として貴重な機会となり得ると考えます。次の講座は、県民(市民)の抱える(可能性のある)「検診・介護(在宅医療・地域医療を含む)・ガン治療の現状と問題」をテーマにあげていただきたいと切に願います。どうかよろしくお願い申し上げます。漢方が悪いというわけではありませんが、医師会の皆様、少々のんきではありませんか???(50歳代・女性)

12. ありがとうございました。とてもわかりやすかったです。(50歳代・女性)

13. 大変良いテーマでした。次回も良いテーマをよろしく。(60歳代・男性)

14. 島先生のご講演は、大変参考になりました。また、先生の話を聴きたいと思いました。渡邉先生は、具体的な内容・例で、これも参考になりました。(60歳代・男性)

15. 参加して良かったと思います。次年度は、是非、在宅介護や医療についてのお話が聞けたらと思います。渡邉先生のお話は女性中心でしたが、わかりやすく良かったです。(60歳代・女性)

16. 私は冷え症ではないのですが、漢方のこともそうですが、冷えについての考察について伺い、とても勉強になりました。私も「医食同源」だと思い、毎日食事に気をつけている!楽しく食べる!渡邉賀子先生と全く同感です。九州から本当にありがとうございました。(60歳代・女性)

17. 年を取ると脂肪がなかなかとれません。よい方法は?(60歳代・女性)

18. スライドの黄色い文字は全然見えない…残念。(60歳代・女性)

19. 漢方薬が身近な薬になりました。(60歳代・女性)

20. 漢方薬は長く服用しないと効かないと思ってましたが、女医さんの講演で速効もあることはびっくりでした。(60歳代・女性)

21.認知症の予防法は?(70歳以上・男性)

22.もう少し参加者が意見を発表する機会があれば良いと思いました。(70歳以上・男性)

23. 認知症の予防に最新の技術について今後取り上げてください。(70歳以上・男性)

24. テーマの「漢方からの健康へのアプローチ」は市、県医師会の総意が個人差があるドクター任せというか薬用、ジェネリックなど若者受けか迷う。なおしたい一心あり、適切な方向を見いだしてください。(70歳以上・男性)

25. なかなか聞けない漢方の話、大変参考になりました。私は現在71歳、前立腺肥大、慢性腎臓病(初期とは思うが)を抱えている。帯状疱疹後神経痛(と思っている)が冬にひどく、薬局(漢方)に相談に行ったら、ある生薬を紹介され、1ヶ月近く飲んでみたら、からだにいいということが感じられた。その後主治医に聞いてみたら、OKとは言わなかった。「生薬は強いですよ」とだけ言われた。結局、その後生薬はやめているが、こういう場合どうしたらよいか、誰に聞いたらよいかわからない。薬局からは効くことや、処方している人の良いところを書いたハガキが送られてくる。最終的には本人の判断になると思うが、迷いは消えない。(70歳以上・男性)

26. 6種以上の薬の併用は副作用があるということなので漢方を取り入れたらいいのにと思います。西洋医学~東洋医学へ切り替えればいいように思います。(70歳以上・女性)

27. 漢方のお話、良くわかりました。(70歳以上・女性)

28. 漢方の話が良く聞けてとてもよかった。(70歳以上・女性)

29. すばらしいので、これからも元気で参加します。(70歳以上・女性)

30. 毎回医療を考えるつどいを楽しみにしています。これからもよろしくお願いします。(70歳以上・女性)

31. 漢方は難しい。西洋医学の先生たちにも勉強していただきたい。(70歳以上・女性)

32. とてもわかりやすい説明で良かった。お医者さんとはなかなかゆっくりお話を聞いたり、質問したりしにくい感じがあり、もっと自分の病気について知りたいと思っても、良くわからないまま、薬を出されたまま、飲んでいる状態です。(70歳以上・女性)

33. 最高のチャンスでした。(70歳以上・女性)

34. 漢方薬に詳しい近くの病院を知りたいと思いました。(70歳以上・女性)

35. すごくわかりやすくてよかった。(70歳以上・女性)

36. かかりつけ医?病院にかかってない人間にとってどういう風に出会いが出来るのか悩んでおります。お医者様との相性等もあると思うし、やっぱり心から信頼できる人、何でも話し合えるような先生に巡り会うことが出来ることを願っているところではあります。ありがとうございます。(70歳以上・女性)

37. 漢方を再学習の場が欲しいです。(70歳以上・女性)

38. 講演をきいて漢方が身近に感じられ、参考になりました。女性の立場からの講話は役立ちました。在宅医療での問題点(寝たきりで発生する症状)とその対策。例えば、便秘、床ずれ等。(70歳以上・女性)

39. 熊本からこの寒い秋田に来て下さってありがとうございました。とても!!とても!!勉強になりました。ありがとうございました。(70歳以上・女性)