加藤 育広(秋田市子ども未来部次長)
ご紹介いただきました秋田市子ども未来部の加藤と申します。このような大勢の人の前で話をするのは初めてなので緊張しています。20分と限られた時間ではありますが、秋田市の子育て支援について説明させていただきますのでお付き合いのほどよろしくお願いします。 今日の話は、 1.子どもを取り巻く現状と課題 2.子育て支援の取組 3.まとめ の3つに分けて進めてまいります。 まず、1.の子どもを取り巻く現状と課題です。課題として3点をとりあげました。その1点目としては、少子化であります。出生数は年々減少しており、過去50年間を見ますと、ピークであった昭和50年の4,336人に対し、平成26年は2,291人となっており、約半分に減っている現状です。 次は人口の割合です。昭和40年に25.7%を占めていた年少人口は、50年後に11.7%になった一方、4.4%だった老年人口は、50年後に27.1%となり、正反対になっています。 このことにより主に3つの課題が挙げられます。1つは、生産年齢人口の減少などによる税収入の減少、2つ目は、要介護者の増加に伴う介護費用の増加、3つ目は、公共施設の維持管理の問題など、市政運営や市民生活に直結する様々な課題が生じてきます。 課題の2点目は、待機児童です。グラフはここ3年間の待機児童数の推移になっています。年度当初の4月はゼロになっていますが、その後に仕事に就いたり、子どもが生まれたりすることによって、保育所等への申込みがあるため、年度途中には待機児童が発生しております。子どもの出生数が減っているのに、なぜ待機児童が減らないのか疑問に思う人もいると思います。 次のグラフは保育所等への入所申込人数になっていますが、今年度は、4年前に比べ約1,000人増えています。このことは共働き世帯が増えたことによって、保育を必要としている世帯も増えてきているものととらえています。 課題の3点目は、子どもの貧困です。秋田市では、昨年9月に子どものいる世帯の実態調査を行いました。その結果、国が平成25年の調査で示した貧困線を下回る世帯の子どもの割合は6.4%でした。この調査結果を踏まえた対応については、後ほどお話しします。なお、参考までに生活保護世帯数とひとり親世帯数を掲載していますが、ひとり親世帯を貧困世帯ととらえているわけではありませんので誤解のないようお願いします。 以上の課題への対応として、次に2.子育て支援の取組についてです。秋田市では子育て支援を一元的に取り組むため、平成23年度に6つの課所室でなる子ども未来部を設置しました。業務内容の何点かについては後ほど説明します。 一般会計における子育て支援予算は、約178億円で、全体の13.7%を占めています。参考までに介護・高齢関係は約50億円で4.5%となっていますが、介護保険はこれとは別に約282億円の特別会計があります。 次に予算の推移であります。子ども未来部発足時に約145億円だった予算は、今年度は約178億円となっており、6年間で約33億円増えております。その主な内容について紹介します。 はじめに子ども育成課の取組についてです。今年度から実施している第2子保育料無償化は、秋田市で子ども一人世帯の割合が約40%と多いことを踏まえ、子育てにかかる経済的負担を軽減し、人口減少を抑制しようとするものです。予算額は約6,900万円となっていますが、5年後には約4億5千万円になるものと見込んでいます。 次の3歳未満児定員拡大は、待機児童のほとんどが3歳未満児となっており、特に0歳児だけで75%となっていることを踏まえ、新規雇用した保育士の人件費を補助することによって定員の拡大を図るため今年度から実施しているものです。 次の保育士人材バンクは、定員拡大するためにはそれに見合った保育士が必要になりますが、なかなか確保できない現状を踏まえ、保育士資格を持ちながら就労していない潜在保育士を発掘し、求人情報を提供するとともに、再就職セミナーなどにより就労を支援するもので、今年度から実施しています。 子ども未来センターの取組では、平成27年から子育てサービス利用者支援を実施しています。これは、子育て世帯などを対象に、子育てナビゲーターが個別ニーズに適したサービスを提案し、マッチングすることで様々な相談に対応しているものです。 子ども健康課の取組としては、昨年10月から秋田市版ネウボラを開設しました。これは、助産師が務めるコーディネーターが、妊娠届の提出時を活用して妊婦と面接し、個々人の状況を把握しながら相談支援を行い、妊産婦の孤立感の解消や育児負担の軽減を図るもので、必要に応じて医療機関とも連携して取り組んでいます。 次に子ども総務課の取組を4点ほど紹介します。はじめに、課題の3点目に挙げていた子どもの貧困対策についてです。実態調査を踏まえ、現在、子どもの未来応援計画を策定しており、第1章から第6章までの構成となっています。 2点目の子ども福祉医療費給付事業は、市独自に0歳・1歳の所得制限を撤廃しているほか、今年度からは対象を中学生まで拡大しています。 3点目の子育て応援リーダー宣言は、仕事と生活の調和いわゆるワーク・ライフ・バランスを図るため、仕事と子育ての両立できる職場づくりに取り組もうとする「秋田市版イクボス宣言」で、写真は昨年11月に穂積市長が宣言した時のものです。先週の金曜日には、副市長をはじめとした幹部職員も宣言しました。 4点目のシングルズカフェは、若い独身男女を対象に出会いの場を提供し、できれば結婚へと結び付けようと、昨年5月から実施しており、これまで約900人が参加しています。 最後にまとめですが、秋田市では、人口減少対策を喫緊の最重要課題に位置づけ、総合戦略の将来人口として平成52年に約26万人を目指すこととしています。そのため、5つの基本目標の第1に「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」ことを掲げてい ます。この目標を達成するための今後の子育て支援については、まず第一に、子どもを生み育てることの喜びが実感できる社会づくりが大切だと考えています。そのためには、出産・育児の不安・悩みを解消するとともに、孤立することなく安心して子育てできる寄り添った支援が必要です。また、不安や悩みの大きな要因となっている経済的負担の軽減にも、より一層取り組んでいきたいと考えています。 以上で私の講演を終わります。ご静聴ありがとうございました。
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