2009年1月、日本高血圧学会は高血圧治療ガイドラインを改訂しました(JSH2009)。高血圧は 140/90mmHg以上と定義しています。家庭で測定した血圧では、135/85mmHg以上の場合高血圧 とされます。高血圧症を、さらに次の3段階に分類しています(表1)。
①Ⅰ度高血圧(収縮期140~159mmHg または 拡張期90~99mmHg) ②Ⅱ度高血圧(160~179mmHg または 100~109mmHg) ③Ⅲ度高血圧(180mmHg以上 または 110mmHg以上)
同ガイドラインは、降圧目標を高齢者においては140mmHg/90mmHg未満、若年・中年者においては130/85mmHg未満、糖尿病患者、慢性腎臓病(CKD)患者においては130mmHg/80mmHg未満に設定しています(表2)。収縮期血圧と拡張期血圧が異なる分類に属する場合には、高い方の分類に組み入れられます。
高血圧は脳卒中発症の最も重要な危険因子ですが、他の心血管病発症にとっては危険因子に一つに過ぎず、高血圧患者さんの病気の見込みは高血圧のほかに、高血圧以外の危険因子(表3)および高血圧に基づく臓器障害障害の程度ならびに心血管病合併の有無が深く関与します(表4)。
高血圧治療ガイドライン(JSH2009)においては、高血圧患者さんを表5のように血圧分類、主要な危険因子(表3)、高血圧性臓器障害・心血管病の有無(表4)により、低リスク、中等リスク、高リスクの3群に層別化されます。今回の改訂では、130~139/85~89mmHgの正常高値血圧であっても、糖尿病、腎不全、3個以上の危険因子、臓器障害、あるいは心血管病を有する場合は、リスク第三層の高リスクであり、臨床的には高血圧と判断し、降圧療法を考慮することが新たに加えられました。
初診時の高血圧管理計画は図1に示すとおりです。 薬物治療と同時に、生活習慣の修正が必要であることは言を待ちません(表6)。特定保健用食品は、保健用途、効果を厚生労働大臣が許可した食品で、「保健の効果」や「栄養成分の機能」などを表示できるものを言います。血圧に有効とされる食品の降圧機序としてACE阻害活性に基づくものが多いのですが、表示されている「一日当たりの摂取目安量」を正確に守りましょう。また、特定保健用食品の摂取が、降圧薬の代わりになるものではありません。特に、上記したリスクに該当する方は、医療機関を受診して指導に従ってください。すでに降圧薬を服用している患者さんでこれらの食品を使用したいと考えましたら、かかっている医師に相談するようにしてください。
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